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被毛について

ペット図鑑を見ていると、時々「ダブルコート」や「ブルーマール」など、聞き慣れない単語を目にすることがあると思います。これらはペットの被毛についての用語で、もともとはトリマーやブリーダー同志で使われてきましたが、これらの言葉を知っていると、ペットのことがもっとよく理解できるようになります。
ペットショップでブラシを選んでいたら、店員さんに「それはダブルコートのワンちゃん用ですね」と言われました。ダブルコートって何ですか?
ワンちゃんの毛の生え方として、“シングルコート”と“ダブルコート”の2種類があります。ワンちゃんは一つの毛穴から数本~数十本の毛が生えているのですが、ダブルコートの場合、1本のトップコートと呼ばれる、しっかりと腰のある毛に対して、数本のアンダーコートと呼ばれるふわふわのやわらかい毛が一緒になっています。
トップコートは体の表面を覆い、水をはじいたり皮膚を守る働きがあり、アンダーコートはトップコートと皮膚の間で保温やクッションとして働いています。アンダーコートは定期的に抜け替わり、特に春先の換毛期には大量に抜けるため、ダブルコートのワンちゃんはスリッカーブラシのような、抜けた毛を掻き取るようなブラシが必要になってきます。柴犬やポメラニアン、ゴールデン・レトリーバーなどが代表的な犬種になります。
一方シングルコートとは、アンダーコートがない被毛のことで、寒さには弱いものの、一年を通じて抜け毛がほとんどありません。プードルやフレンチブルドッグなどがシングルコートとしてよく知られていますが、中にはヨークシャーテリアやマルチーズなどのように柔らかなシングルコートがずっと伸び続ける犬種もいて、このようなワンちゃんにはピンブラシのようなもつれをほぐしやすいブラシを選ぶと良いでしょう。
プードルのようなクルクルの巻き毛のことを何というのですか?
プードルのような細かく巻いている被毛のことは“カーリーコート”といいます。カーリーコートは非常に密で水をはじき、また濡れてもすぐに乾くので、水辺で仕事をする犬に適しています。プードルはもともと撃った水鳥を回収するための猟犬でした。プードルの他にはコモンドールやアイリッシュ・ウォータースパニエルなどがいます。
ワンちゃんの被毛にはその他にも4種類あり、それぞれ次のような特徴があります。
ショートコート
短毛でストレートな毛質のこと。パグやダルメシアンなど。
ロングコート
柔らかな長毛で全身が覆われている。アフガンハウンドやシーズーなど。
ワイヤーコート
トップコートが硬くてごわごわとした毛質で、テリアなどによく見られます。アンダーコートもありますが、抜け毛はあまりありません。
コーデトコート
紐(コード)状になった毛が全身からぶら下がっているよう見え、人で言う“ドレッドヘア”のような毛です。プーリーが代表的な犬種になります。
うちの子(トイ・プードル)は明るい茶色の毛色なのですが、“レッド”と呼ばれたり“アプリコット”と言われたりします。同じ茶色なのに何か違うのですか?
ワンちゃんの場合、一口に“茶色”の毛色と言っても、ブラウン、レッド、ルビー、アプリコット、など様々な呼び方があります。それぞれの差はとても微妙です。特に“薄いレッド”と“濃いアプリコット”はほぼ同じような赤茶色をしています。毛色の呼び方は血統登録の際などには必要になりますが、それ以外では特に問題になることはありません。成長するにしたがって変化していくこともあるため、あまり深く考えなくても良いでしょう。
毛の色だけでなく、柄(がら)にもワンちゃん独特の言い方がありますよね?
ワンちゃんは品種改良により非常に多くの犬種ができたため、その柄の出方もバリエーションに富んでおり、呼び方にもいろいろあります。下に挙げるのはごく一例です。
ソリッド
全身が1色の毛色のこと。
バイカラー
2色の毛色の総称で、白地に他の色が乗っている場合が多いのですが、ブラック&タンやブラウン&タンなどもあります。キャバリア・キングチャールズ・スパニエルの“ブレンハイム”(白地に栗色)や、グレート・デンの“ハーレクイン”(白地に斑模様)、ダルメシアンの“スポット”(白地に黒の水玉)もバイカラーの一種です。
トライカラー
白、黒、茶色の3色がはっきりと出ている毛色。ビーグルやバーニーズ・マウンテンドッグなど。
マール
大理石模様とも言われ、同色系の薄い色の上に濃い斑模様が乗っている柄。黒系をブルーマール、赤系をレッドマールといい、ダックスフントに見られた場合は“ダップル”と呼ぶこともあります。
ブリンドル
いわゆる“虎柄”のことで、地の色に黒や茶色の縞模様が入っている模様のことです。フレンチブルドッグや甲斐犬、ボクサーなどに見られます。
“ブルーマール”の毛色の犬は繁殖に適さない、という話を聞いたことがありますが…?
ブルーマールとはグレー地に黒の大理石模様柄の毛色のことで、シェルティーやポメラニアン、チワワなどに見られます。
ブルーマールのワンちゃんは“マール遺伝子”と呼ばれる、毛色を薄める遺伝子を必ず持っていますが、このマール遺伝子同士をかけあわせるとかなり高い確率で奇形児が生まれ、また生まれてからも体が弱く死亡率が高いことがわかっています。
ですから、今はブルーマール同志のワンちゃんは繁殖させない、ブルーマールには必ずマール遺伝子を持たない子と掛け合わせるようにしています。

まとめ

ワンちゃんは被毛の柄と色の組み合わせだけでも本当にたくさんの種類があり、どのワンちゃんも唯一無二のものです。世界でたった一頭だけのあなただけのワンちゃんを見つけてくださいね。

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