TOP

ペットとの生活

教えて! 獣医さん

年齢別に起こりやすい病気について聞いてみよう

年齢別に起こりやすい病気について聞いてみよう

多くの病気は、それが発症しやすい年齢というものがあります。生まれついての体の異常や体質による病気は幼い頃からその症状がみられる場合が多く、また、新陳代謝の盛んな成長期に発症しやすい病気というものもあります。さらに、高齢になって体のいろいろな機能が低下することによって発症する病気というものも多くあります。ペットの成長に合わせて、どんな病気に気をつけていればいいのかをあらかじめ知っておけば、早期に病気を発見し、適切な対処を行うことが可能になります。

Q1.子犬や子猫はあらゆる病気に罹りやすいのですか?

A.
生まれたての犬や猫の赤ちゃんは非常に未熟な状態で生まれてくるため、確かに外からの力に対してはとても弱い存在です。 体温調節する能力も低く、母乳以外の物を消化する能力もあまりもっていないため、ちょっとしたことがすぐに病気へつながります。 しかし、健康なお母さんから生まれて母乳もしっかり飲んでいる子であれば、お母さんから病気に対する免疫をもらっているので、ある程度の感染症に対しては抵抗力を持っています。 むしろ、病原菌に対して一番弱いのは、離乳が始まってお母さんからの免疫が切れる生後2ヶ月過ぎごろで、この頃は感染症に一番気をつけなければいけません。 ですから、感染症を予防するために混合ワクチンは生後2ヶ月頃から打ち始めるのです。

Q2.若くて活動的な年齢の時は病気のことなんか気にしなくてもいいですよね?

A.
確かに1歳から5歳くらいまでの犬猫は元気いっぱいで体力もあり、病原体に対する抵抗力もあるため、病気とは無縁のように思われます。 しかし、元気で好奇心にあふれているがゆえに突発的な事故や外傷の危険性が他の年代よりも高いことに、飼い主としては気をつけていなければなりません。 たとえば、通電している電気コードをかじって感電したり、食べ物以外の物を口にして腸閉塞や中毒を起こしたり、脱走による交通事故、喧嘩による咬傷などが若い頃にはよく見られます。 ただし、これらの事故は注意することによって未然に防ぐことが出来ることも多いため、飼育環境やしつけなどを今一度見直しておくと良いでしょう。

Q3.超大型犬は成長期に骨の病気になりやすいと聞いたのですが?

A.
グレートデーンやピレニーズなどの超大型犬の子犬は急激に大きくなります。 生まれた時は500g程度しかなくても、わずか1年で50㎏を越し、ごく短い間に体重は100倍にもなり、手足の骨も数倍の長さになります。 ですからついつい栄養価の高い物をたくさん食べさせがちなのですが、カルシウムなどの栄養を偏って与えたり、必要以上に食べさせて太らせてしまうと、関節内に軟骨の一部が剥がれ落ちる「骨軟骨症」や、成長期に股関節に過剰な負担がかかるためにおこる「股関節形成不全症」などになりやすくなってしまいます。 超大型犬に限らず、特に成長期には過不足なくバランスの取れた栄養を与えることが、健康には不可欠であるということを忘れないようにしましょう。

Q4.猫の高齢は何歳からですか?高齢の猫で気をつけなければいけない病気はなんですか?

A.
一般的に、猫の7歳は人でいえば45歳前後に相当し、シニアと呼ばれるようになります。ただし、7歳の健康な猫はまだまだ元気いっぱいの場合が多く、実際に健康面で注意が必要になるのは10歳くらいからのことが多いようです。 高齢の猫で気をつけなければいけない病気は「慢性腎不全」「歯周病」「腫瘍」「甲状腺機能亢進症」が主なものです。特に「慢性腎不全」はどんな猫でも加齢と共に少しずつ発症するものだと思っていていいでしょう。 この病気の症状は多飲多尿、食欲不振、削痩などですが、これらの症状が出る頃には既に病気が進行していることが多いため、シニアになる前から定期的に健康診断を行い、腎機能をチェックしてもらうといいでしょう。

Q5.年をとった犬で気をつけなければいけない病気はなんですか?

A.
犬も高齢になると様々な器官の衰え、変化が見られるようになります。高齢犬で良く見られる主な病気には「僧帽弁閉鎖不全症」「認知症」「歯周病」「腫瘍」「変形性関節症」などが挙げられますが、特に「僧帽弁閉鎖不全症」は高齢の小型犬でよくみられます。 この病気は加齢に伴って心臓の中にある弁がうまく働かなくなる病気で、そのために心臓内で血液が逆流したり、心臓が拡張してポンプとしての役割がうまく働かなくなってしまうために全身の血流が滞り、症状が進むと肺に水がたまって呼吸が出来なくなってしまいます。 高齢になって発症する病気は避けることが出来ず、完治させることが難しいものも多いのですが、定期的に健康診断を行って早期発見し対処することによって、進行を遅らせたり症状を軽減させることが可能です。

Q6.高齢になって病気にならないように、若いころから気をつけておいたほうがいいことを教えてください。

A.
高齢になってみられる、体力や免疫能、代謝機能の低下に伴う病気からペットを守るためには、若い頃からできる予防を行ない、健康チェックを定期的にすることが大切です。 病気の予防としてはワクチン接種が一番に挙げられますが、その他にも寄生虫の予防、歯周病を予防する歯磨き、生殖器や性ホルモン由来の病気(卵巣腫瘍、精巣腫瘍、子宮蓄膿症など)を予防する避妊、去勢手術などがあります。 また、栄養状態や飼育環境には常に気を遣い、家で体表チェックを兼ねたグルーミング(ブラッシング、耳掃除、爪きりなど)を行いつつ、病院で定期的な健康診断を続けることも病気の予防にはとても大切です。