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ペットとの生活

ドックトレーナー直伝! しつけのコツ

ワンちゃんとのコミュニケーションを深めるために言葉を正確に理解してもらう方

第5回 ワンちゃんとのコミュニケーションを深めるために言葉を正確に理解してもらう方法!
2011/08
第5回 講師 鹿野正顕先生
森山先生
鹿野正顕(かのまさあき)
犬のしつけ方教室スタディ・ドッグ・スクール®(麻布大学との共同事業)
神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71 麻布大学内 TEL:(042)-712-9148
■ドッグトレーナー
(CPDT-KA、JAPDT理事/事業企画実行委員長、麻布大学の介在動物学研究室共同研究員)
動物人間関係学の分野で博士号。
CPDT-KA:Certified Professional Dog Trainer - Knowledge Assessed
JAPDT:NPO法人日本ペットドッグトレーナーズ協会

うちのワンちゃんは、「お座り」、「伏せ」を理解しているはずなのに、状況によってなかなか指示に従ってくれないといった経験をしたことはないでしょうか?
ワンちゃんが指示に従ってくれない原因はいろいろありますが、その理由として、ワンちゃんが「言葉の意味を正確に理解していない」ということもあげられます。
そこで今回は「お座り」の教え方を例に、教えたい行動と言葉の指示を正確に理解してもらう方法をご紹介いたします。

まずは、両手にワンちゃんの大好きなご褒美(おやつ)を持ちます。
最近では、ペットショップなどでいろいろなご褒美が購入することができますが、一般的に
① 生の食感に近いようなもの(あまり加工されていないもの)
② ちぎりやすいもの(少しずつご褒美をあげるため)
③ 弾力があるもの(食感がある)
④ 匂いが強いもの
といったご褒美がワンちゃんには喜ばれます。

ご褒美の持ち方も、人差し指と親指でつまんであげる方が多いのですが、食べるときにワンちゃんの歯が手に当たってしまうので、手のひらにご褒美を置き、親指で押さえながらあげた方が、ワンちゃんは歯を当てずに優しく食べてくれます。

step1教えたい行動(お座り)を理解してもらう

手のひらに持ったご褒美を鼻先に持っていき、肘を曲げながら持っているご褒美をゆっくりと頭の上に持っていくと、ワンちゃんはおやつを追いかけながらお座りをします。
そして、お座りができたときにタイミング良くご褒美をあげるのですが、ご褒美をあげるときは、誘導した手とは反対の手に持っているご褒美をあげます。
Step1でワンちゃんに教える目標は、ご褒美を持った手の誘導でお座りができることです。
そのために、
・手の動きは必ず同じ動きを心がける
・手の動き以外の動きはしない(腰を曲げる、のぞき込むなど) ということを心がけることが重要です。

step1「ハンドサイン」で教えたい行動(お座り)ができるようにする

ご褒美を持った手で誘導して、教えたい行動(お座り)ができるようになると、誘導する手にご褒美を持たずに誘導しても教えたい行動(お座り)ができるようになります。
もし、ご褒美を持たずに誘導するだけではお座りができなければもう一度、Step1に戻って練習をします。
できないからといって、何度もトライするのではなくすぐに、Step1に戻って練習を始めた方が最終的には早く覚えてくれます。
また、この段階で注意すべき点は、本当に手の動きだけでお座りをするかどうかを確認することです。
Step1の練習をしている際に、気づかないうちに「覗き込む」、「前かがみになる」といった、手の動き以外の動きも同時にしてしまうことがあります。
犬は、人の動きに非常に敏感なので、手の動きではなく他の動きに反応して座ってしまうようになることがあるため、手の動きだけでお座りができているか確認すると良いでしょう。  
また、Step2までを覚えてくれたワンちゃんは「ハンドサイン」(手の動き)でお座りをすることを覚えたことになるので、最終的なサインを「ハンドサイン」で教えたいのであれば、Step2までで目標は達成となります。

step1「言葉のサイン」で教えたい行動(お座り)ができるようにする

Step2までができるようになったら、最後は「言葉のサイン」でワンちゃんが教えたい行動(お座り)に反応してくれるように教えていきます。
Step2ができるようになったかを判断するためには、10回のハンドサインで8回成功することができれば、ワンちゃんが理解できていると判断しても良いでしょう。
ハンドサインでできるようになった行動(お座り)を、言葉のサインでできるように練習するためには、
言葉のサイン→ハンドサイン→お座り→ご褒美
の手順で教えていくと、言葉のサインが覚えやすいです。
始めは、言葉のサインを出した直後にハンドサインを出し、ワンちゃんが教えたい行動(お座り)ができたらご褒美をあげますが、言葉のサインを出してからハンドサインを出すまでの時間を徐々に開けていきます。
すると、次第にワンちゃんは言葉のサインと教えたい行動を結びつけるようになり、言葉のサインだけで反応してくれるようになります。
① 言葉のサイン→(0.5秒)→ハンドサイン→教えたい行動(お座り)→ご褒美
② 言葉のサイン→(1秒)→ハンドサイン→教えたい行動(お座り)→ご褒美
③ 言葉のサイン→(1.5秒)→ハンドサイン→教えたい行動(お座り)→ご褒美
④ 言葉のサイン→教えたい行動(お座り)→ご褒美

今回はお座りを例に挙げましたが、「伏せ」や「ヒール(左側に着く)」といった行動でも、教えたい行動をおやつを持った手で誘導することができれば、今回と同じ手順でいろいろな行動を教えることができます。ワンちゃんの言葉の理解が広がれば、より一層、飼い主さんとの絆も深まるので、是非、試してみてください!