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ペットとの生活

ドックトレーナー直伝! しつけのコツ

ワンちゃんの飛びつき防止①~コマンドでコントロールしよう~

第28回 ワンちゃんの飛びつき防止①~コマンドでコントロールしよう~
2013/07
第28回 講師 岡本 雄太先生
鈴木 拓真先生
岡本雄太(おかもとゆうた)
犬のしつけ方教室 スタディ・ドッグ・スクール®(麻布大学との共同事業)
神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71 麻布大学内 TEL:(042)-712-9148
■ドッグトレーナー
(JAPDT事業企画実行委員、麻布大学の介在動物学研究室共同研究員)
動物人間関係学の分野で博士号。
JAPDT:NPO法人日本ペットドッグトレーナーズ協会

みなさんワンちゃんに飛びつかれて嫌な経験をしたことはありませんか?大事な洋服がワンちゃんの足で汚れてしまったり、いきなり飛びつかれて転んでけがをしてしまったり、さまざまな体験談があるのではないかと思います。
犬の飛びつきは他人を怪我させてしまうことや、他の人に犬への恐怖心を与えてしまう危険性があり、思わぬ事故を引き起こすことが考えられます。さらにワンちゃんによっては飛びつくことで腰を痛めてしまう原因となることもあるので、大型犬はもちろん、小型犬においても飛びつくという行動は飼い主がしっかりと防止しなければなりません。
そこで今回は、ワンちゃんの飛びつきを防止する方法として、コマンドで飛びつきをコントロールする方法を説明したいと思います。

ON・OFFを教える

ワンちゃんに「ON(オン):飛びついていいよ」というコマンドと「OFF(オフ):飛びつくのをやめなさい」というコマンドを教えることで飛びつきを防止する方法です。このコマンドを教えることによって、ワンちゃんにコマンドで指示したときだけ飛びつくようになり、指示しないときは飛びつかないようになります。また、人や犬に不意に飛びついてしまった時も、OFF(オフ)という言葉で飛びつきをやめさせることが出来ます。

ON(オン)を教える ~飛びつく行動をほめる~

手にご褒美を持ち、胸の方に移動させワンちゃんが飼い主さんに飛びつくように誘導します。ワンちゃんが飼い主さんに前足をかけて飛びついた体勢をとることが出来たら、褒めてごほうびをあげます。
第5回「ワンちゃんとのコミュニケーションを深めるために言葉を正確に理解してもらう方法」で紹介されているように、両手にご褒美を持ち、誘導の手とご褒美をあげる手を区別した方が良いでしょう。そうすることにより、誘導の手にご褒美を持たなくとも、胸元に手を移動させることがサインとなり、ワンちゃんが飛びつく行動をとることが出来るようになります。  誘導する手にご褒美を持たなくても、手のサインでワンちゃんが飛びつくようになったら次のステップに進みましょう。

ON(オン)を教える ~飛びつく行動とON(オン)という言葉を結びつける~

ON(オン)という言葉と飛びつく行動を結びつけ、言葉だけでワンちゃんが飛びついてくるようにトレーニングをします。
「言葉(オン) ⇒ 誘導 ⇒ 飛びつく ⇒ ご褒美」
の手順で教えていくとワンちゃんは言葉を理解していきます。はじめは、言葉を発した直後に誘導をし、ワンちゃんが飛びついたらご褒美をあげます。それから徐々に言葉から誘導までの時間を延ばしていきます。するとワンちゃんは、言葉と飛びつく行動を結びつけるようになり、「オン」という言葉だけでも飛びつくという行動を起こすようになります。

①言葉 → (0.5秒) → 誘導 → 飛びつく → ご褒美
②言葉 → (1秒) → 誘導 → 飛びつく → ご褒美
③言葉 → (1.5秒) → 誘導 → 飛びつく → ご褒美
④言葉 → (2秒) → 誘導 → 飛びつく → ご褒美
⑤言葉 →  飛びつく → ご褒美

以上のような流れで、徐々に言葉から誘導までの時間を延ばしていき、最終的には誘導をしなくてもワンちゃんが言葉で飛びつく行動をするようにしましょう。この手順で丁寧にトレーニングすることでワンちゃんに言葉を理解させましょう。

OFF(オフ)を教える ~飛びつきをやめた行動をほめる~

ワンちゃんが飛びついた状態から、ワンちゃんが飛びつきをやめる行動をとるように誘導します。まずは、手にご褒美を持ちワンちゃんの鼻先から地面を指さすように手を移動させ誘導します。ワンちゃんが飛びつきをやめ、飼い主さんの体から離れたら、褒めてご褒美をあげましょう。(※写真のように、自分の正面、横のどちらに誘導しても大丈夫です。)

Step1と同じように、両手にご褒美を持ち、誘導の手とご褒美をあげる手を区別した方が良いでしょう。そうすることにより、誘導の手にご褒美を持たなくとも、地面を指さすように手を移動させることがサインとなり、ワンちゃんは飛びつきをやめる行動をとることが出来るようになります。
 誘導する手にご褒美を持たなくても、手のサインでワンちゃんが飛びつきをやめるようになったら次のステップに進みましょう。

OFF(オフ)を教える ~飛びつきやめた行動とOFF(オフ)という言葉を結びつける~

基本的に、Step2で行った「オン」という言葉と飛びつく行動を結びつける方法と同じです。
「言葉(オフ) ⇒ 誘導 ⇒ 飛びつきをやめる ⇒ ご褒美」
という手順で教えていき、ワンちゃんに言葉を教えましょう。はじめは、言葉を発した直後に誘導をし、ワンちゃんが飛びつきをやめたらご褒美をあげます。それから徐々に言葉から誘導までの時間を延ばしていきます。そうすることにより、ワンちゃんは言葉と飛びつきをやめる行動を結びつけるようになり、「オフ」という言葉だけでも行動を起こすようになります。

①言葉 → (0.5秒) → 誘導 → 飛びつきをやめる → ご褒美
②言葉 → (1秒) → 誘導 → 飛びつきをやめる → ご褒美
③言葉 → (1.5秒) → 誘導 → 飛びつきをやめる → ご褒美
④言葉 → (2秒) → 誘導 → 飛びつきをやめる → ご褒美
⑤言葉 →  飛びつきをやめる → ご褒美

以上のような流れで、徐々に言葉から誘導までの時間を延ばしていき、ワンちゃんに言葉を理解させましょう。

このように、ワンちゃんに「ON」「OFF」というコマンドを教えることで飛びつきを防止することが出来るでしょう。また、言葉で教えることによって、他の人へ不意に飛びついてしまった時も、OFF(オフ)という言葉で飛びつきをやめさせることが出来るので、さまざまな場面で活用することが出来るでしょう。


今回は、ワンちゃんの飛びつき防止としてコマンドでコントロールする方法をご説明いたしました。次回は、普段の生活でもよく使う「オスワリ」を用いて飛びつき防止に活用する方法をご紹介したいと思います。

撮影協力
「ティアラ」
ラブラドール・レトリーバー 4歳♀
麻布大学 介在動物学研究室