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ペットとの生活

ドックトレーナー直伝! しつけのコツ

もし災害が起きたら

第60回 もし災害が起きたら
2016/03
第60回 講師 鈴木 拓真先生
鈴木 拓真先生
鈴木 拓真(すずき たくま)
犬のしつけ方教室スタディ・ドッグ・スクール®
神奈川県相模原市中央区氷川町3-3 コーポオクモリ1F  TEL:(042)-712-9148
■ドッグトレーナー
麻布大学 獣医学部 動物応用科 卒業
JAPDT:NPO法人日本ペットドッグトレーナーズ協会 所属

もし災害が起こったとき、飼い主のみなさんは、犬(ペット)と一緒に避難する「同行避難」をすることが原則とされています。
災害はいつ起こるかわかりません。日頃から災害時に向けての準備や備えをしておくことが、とても重要になります。
今回は、普段の生活の中で出来る、災害時に活かすトレーニングについて説明します。

愛犬のために飼い主が備えるもの

災害に向けて、飼い主は準備しておくことが大切です。以下の物は最低限準備しておきましょう。

<迷子にならないため>
・首輪に「鑑札」「狂犬病予防注射済票」「迷子札」を装着
・マイクロチップの装着

普段、家の中では首輪を外している飼い主さんも多いかと思いますが、災害時万が一逃げ出してしまったことを考え、日常生活では首輪をつけたままにしておくと良いでしょう。

<健康を守るため>
・狂犬病予防接種などの各種ワクチン接種
・フィラリア症、ノミ/ダニ、寄生虫の予防や駆除
・避妊/去勢手術

災害時、避難先には多くのペットが集まることが想定されます。感染症予防のため、ワクチン接種を行うことは大切ですし、他の犬とのトラブルや望まない繁殖を防ぐために、避妊/去勢手術も検討することが飼い主の責任となります。

<備えておくもの>
・フード、水(少なくとも 5 日分)
・療法食や薬
・食器
・ケージ
・ペットの写真
・トイレシート、ビニール袋など

写真は、愛犬が迷子になったときに必要です。犬種、身体的な特徴だけでは探すのには不十分で時間がかかりますし、ポスターの作製や飼い主さんの証明などにも使えます。この他にも、ワクチン接種の状況や健康状態、かかりつけの動物病院などの情報を記したものを入れておくと、もし飼い主さんと離れてしまっても安全です。

災害時に向けたトレーニング

●さまざまなものになれる練習
①知らない人に触られる
災害時は飼い主と一緒に避難することが原則として決まっていますが、その「同行避難」ができない場合もあります。ワンちゃんが飼い主と別の場所で生活することも考えられますので、知らない人に慣れさせておくことが大切です。普段から、知らない人と関わる経験を積ませてあげ、たくさんの人からごほうびをもらう練習を繰り返しましょう。
また、災害時ケガをして体調を崩してしまうことも考えられます。体に触ることができないと、治療することが困難になってしまうことがありますので、飼い主さんはもちろんですが、獣医さんやトリマーさんなど他の人に触られることも受け入れてくれるワンちゃんにしましょう。


②色々な音を聞く
災害地では、普段あまり経験しない物や音に出会うことがあります。地震によって建物が倒壊する大きな音、がれきの撤去に使う重機の音などです。震災以降、愛犬が物音に敏感になったというお悩みも多いようです。ワンちゃんが過度なストレスを受けないように、日頃から生活の中でいろんな音に慣らしておくことが大切です。音響 CD、You Tube なども活用し、苦手な音があれば克服しておきましょう。

③他のワンちゃんに気を取られすぎないようにする
避難所には不特定多数のワンちゃんがいることが想定されます。他のワンちゃんに吠えかかったりケンカをしないようにすることが大切ですので、今のうちから犬同士の社会性を身につけさせるようにしましょう。ワンちゃん同士の挨拶を練習するのも良いでしょう。
第 57 回「ワンちゃん同士の挨拶を学びましょう!」を参考にしてください。)

一方で、他のワンちゃんが好きすぎて興奮してしまい、必要以上にあいさつをしたがったり、遊びに誘うのも問題です。最近は、パピーパーティやドッグランなどで小さいころから他の犬とふれあい、仲良く遊べる犬が増えています。もちろん、犬同士遊べることも良いことなのですが、「過剰に興奮してしまう」「挨拶せずにはいられない」ようなワンちゃんにしないようにしましょう。周りに他のワンちゃんがいても、過剰に興奮したり過剰に怖がったりしないことが大切で、気を取られすぎないよういないようにしましょう。
そのためには、ワンちゃんがいても挨拶しない練習が必要となります。

●トイレトレーニング
避難所には犬を飼っていない人も集まります。周りの人の事も考え、排泄物の匂いには気を付け、処理やマナーを守りましょう。
ペットシーツでできるのが理想ですが、ペットシーツが手に入らないことも考えられます。
「指定した場所で飼い主さんの指示によって排泄できる」ワンちゃんになれると良いでしょう。
トイレトレーニングは完璧で、「トイレシーツの上で排泄できる」と飼い主さんが思っていても、ワンちゃんは「トイレの場所」で覚えている場合もあり、外でシーツを敷いても排泄出来ないようなことがあります。


(トイレトレーニングの基礎は第 15 回「子犬の時からトイレのしつけをしよう!」を参考にしてください。)

●ハウストレーニング
避難所ではハウスに入っていることが基本になります。日常生活でもハウスに入る練習をして、ワンちゃんが安心して落ち着けるように練習しておきましょう。お留守番のときなどはハウスにいれてあげることで、飼い主がいないときに起きた災害時も、家具の倒壊などから身を守ってくれます。

さまざまなタイプのハウスに入ることも重要なポイントです。実際に避難所で使用するハウスが普段使っているものとは限らないからです。色々な形のハウスになれさせておきましょう。

☆最後に、、、
もし、災害が発生した時は、まず自分の身の安全を第一とし、落ち着いて自分とワンちゃんの安全を確保しましょう。
ワンちゃんだけが生き残っても飼い主がいないと生きていけません。
また、突然の災害で飼い主もワンちゃんも混乱しパニックとなってしまうことが考えられるので、落ち着いた対応を飼い主が目指していけるように、普段から防災の準備や備えをしておくことが重要になります。