- 狂犬病は日本では見られないと聞きましたが、それでも毎年ワクチンを打たないといけないのですか?
- 狂犬病ワクチンは唯一、狂犬病予防法という法律で犬に打つことが義務付けられているワクチンで、生後3ヶ月以上になった子犬は予防接種と役所への登録、さらに年一回の追加接種を行わなくてはなりません。
- 確かに、1950年からこの予防法を徹底したおかげで、現在日本国内で狂犬病は発生していません。
- しかし世界的に見るとこのような国は非常に少なく、まだ周辺のアジア諸国、アメリカ、ヨーロッパなどでは狂犬病ウイルスを持った動物が存在し、人への感染例も報告されています。
- 狂犬病は発症すると治療法がなく、死亡率の非常に高い恐ろしい病気です。
- 海外から多くの動物が輸入される現在、再び日本国内に狂犬病を流行させないためにも、国内の犬にワクチンを接種しておくことが必要になるのです。
- 子犬や子猫の時にはどうして同じワクチンを何回も繰り返し打たなくてはいけないのですか?
- 子犬や子猫はおなかの中にいる時にお母さんから移行抗体という病気に対する抵抗力をもらっていて、うまれてすぐはそれによって感染症から守られています。
- しかし、この力は成長と共に徐々に消失してしまいます。
- そこで病気から子犬子猫を守るために、消えた移行抗体の代わりに新たに抗体を作らせるのがワクチンを打つ理由なのですが、実は移行抗体は病気を防ぐのと同時にワクチンの効果をも打ち消してしまうため、ワクチンは移行抗体が消えたすぐ後に打つことが求められます。
- しかし移行抗体が消えるタイミングは個体によって異なり、早い子では生後1.5ヶ月頃から、遅い子は4ヶ月頃と差があります。
- ですから、どの子にも抵抗力の空白期間を作らず、なおかつ確実に抵抗力を与えるために4~6週齢から3~4週間隔で2~3回接種することが勧められているのです。
- ワクチンにはショックを起こすような怖い副作用があると聞いたのですが?
- ワクチンを接種したあと、ごくまれにアナフィラキシーショックと呼ばれる激しいアレルギー反応が見られることがあります。
- これは、ワクチンの中に含まれている成分を生体が異物とみなしてしまうためにおこることで、主な症状としては顔が腫れる、呼吸が苦しくなる、意識を失う、などがみられます。
- しかし、アナフィラキシーショックが発現する確率は非常に低いため、ワクチン接種を必要以上に恐がることはありません。
- また多くの場合、接種してすぐに症状が現れるため、もし心配であればワクチン接種後しばらくは病院内で安静にして様子を見るようにして、何かあったらすぐに対処してもらうといいでしょう。
- イヌの混合ワクチンはどんな病気を予防するのですか?
- 犬用の多くの混合ワクチンは以下の病気に対するワクチンをいくつか組み合わせたものになります。
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- 犬ジステンパー
- 呼吸器症状、消化器症状、神経症状を起こし、子犬では死亡率が非常に高い病気です。
- 犬パルボウイルス感染症
- 激しい下痢や嘔吐をおこす子犬での死亡率が非常に高い病気です。消化器症状だけでなく心筋炎で子犬が突然死亡することがあります。
- アデノウイルス感染症
- 2種類の感染型があり1型は別名を犬伝染性肝炎といい子犬の激しい消化器症状や突然死の原因の一つです。2型は主に呼吸器症状を引き起こします。
- 犬パラインフルエンザ
- 他の病原体と混合感染して「ケンネルコフ」と呼ばれる呼吸器疾患を引き起こします。
- 犬コロナウイルス感染症
- 子犬に激しい下痢と嘔吐を引き起こします。
- レプトスピラ症
- 3タイプあり、他の動物や人にも感染します。ひどい場合には腎炎や肝炎を引き起こして命の危険もあります。
- 猫のワクチンはどんな病気を予防するのですか?
- 猫には以下の病気に対するワクチンがありますが、どの組み合わせで打ったらいいのかは、かかりつけの先生と良く話し合いましょう。
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- 猫汎白血球減少症
- 猫伝染性腸炎ともいい、激しい嘔吐や下痢が主な症状ですが、子猫では急激に衰弱して1日で死亡してしまうこともあります。
- 猫白血病ウイルス感染症
- 白血病やリンパ腫など死亡率の高い他の病気の原因になる病気で、猫同士の喧嘩から感染しやすいといわれています。
- 猫ウイルス性鼻気管炎
- 発熱、鼻水、くしゃみといった人の風邪のような症状を示す病気です。重症の場合、食欲が低下して衰弱死してしまうこともあります。
- 猫カリシウイルス感染症
- 鼻気管炎と併発することが多く、発熱や呼吸器症状と共に口腔内に潰瘍が出来てご飯が食べられなくなることがあります。
- クラミジア感染症
- クラミジアという細菌による感染症で、風邪のような症状のほかに、結膜炎がよく見られます。