- どうして春にフィラリアやノミ・マダニの予防を始めるのですか?
- ノミやマダニ、フィラリアを運ぶ蚊などの外部寄生虫は、春になって暖かくなると活動を活発化させるからです。
- ノミは卵やサナギで冬を越し、13度になると活動をはじめ、18~27度が最も活発に動きます。また、蚊は成虫のまま冬を越し、15度になると血を吸い始め、25~30度が最も活動的になる温度と言われています。
- もし暖かな室内にノミや蚊がいれば一年中予防をしていなければいけませんが、昨年もしっかりと予防が出来て室内に持ち込んでいなければ、春になって活発化する前に予防薬を使えばよい、ということなのです。
- ノミやマダニ感染症は皮膚に虫がついて血を吸うのでわかりますが、フィラリア症とはどんな病気なのですか?
- フィラリア症とは、犬フィラリアというそうめんのような白くて長い寄生虫が犬や猫の心臓や肺の血管に寄生する病気です。
- 心臓の中にいる成虫は“ミクロフィラリア”という目に見えないくらい小さな幼虫を生み、この幼虫は血液中を漂いながら蚊に吸われるのを待っています。
- 蚊に吸われたミクロフィラリアは蚊の体内で少し成長し、再び犬や猫の血を吸うときに蚊の唾液と一緒に体内に潜入し、血液の流れに乗るとそのまま心臓に達して成虫になるのです。
- 心臓の中に何匹もの成虫が寄生すると心臓の「血液を全身に送るポンプ」という働きが弱くなってしまうため、全身の血のめぐりが悪くなることによる様々な症状(貧血、腹水、咳など)が出て、放っておくと命の危険がある病気なのです。
- フィラリア症の予防薬を始める前には必ず血液検査をするのですが、それはどうしてですか?
- フィラリア症の予防薬は、体内に入っているフィラリアを殺すものです。
- 本来は血液に入る前の幼虫を殺すための薬なのですが、成虫にも作用するので、もしも昨年の予防がきちんとできていなかったり、冬に蚊に刺されてフィラリアの成虫が心臓内に入っていた場合、ショックなどがあらわれることがあり、とても危険なのであらかじめ検査をしてフィラリアの成虫がいないことを確認するのです。
- 検査は2種類あり、少量の血液を顕微鏡で見てミクロフィラリアを直接観察する方法と、フィラリアが存在する証拠(抗原)を検査キットで判定する方法があります。
- ペットについているノミやマダニが人を刺すこともあるのですか?
- あります。ペットのノミに人が刺されると強い痒みが引き起こされます。
- 反応の強い人では刺された箇所が腫れたり水膨れになり、刺された痕がなかなか消えず、長く残ることもあります。
- また、マダニは唾液の中に細菌やウイルスなどの病原体を含んでおり、動物から人へ感染症の媒介を行うことが知られています。
- 近年問題になっているのがSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という病気で、マダニを介して野生動物からペットへ、ペットから人へ感染することが知られています。
- うちの子はお散歩に行かないのですが、それでもノミ・マダニの予防はしなくてはいけませんか?
- たとえ室内飼いのペットでも外部寄生虫の予防はしておいたほうが良いでしょう。
- それはノミやマダニは人が室内に持ち込む可能性が十分にあり、いったん室内に入るとそこで繁殖してしまうこともあるからです。
- また、急にペットホテルに預けたり、動物病院に入院しなければならなくなることもあると思いますが、そのときは事前にノミ・マダニ予防薬を使用していることが必要になります。
まとめ
最近は月一回食べさせるだけのおやつ感覚の美味しい薬や、皮膚に垂らすだけで飲ませなくてもよい薬、年に一回注射すればフィラリアが予防できる薬などもあり、春の予防がスタートしやすくなっています。どのタイプの薬をいつから始めれば良いのかは動物病院の先生とよく相談して予防スケジュールを立て、ペットを病気から守ってあげましょう。