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ペットとの生活

犬猫の基礎知識

第2回 猫のワクチンについて

第2回 猫のワクチンについて

ワクチンとは、接種することで体の中に“抗体”というものを作らせ、その後病原体が入り込んだらすかさず攻撃が出来るようにしておくためのものです。感染すると重症になる病気や感染力がとても強い病気、特効薬がない病気、人にも感染する病気に対してあらかじめ免疫を作っておくことで、感染しても発症を抑える、もしくは発症しても症状を軽くすることができるのです。 猫の場合、全ての子が接種したほうがよいコアワクチンが3種と、それ以外のワクチンが3種あり、これらを組み合わせて混合ワクチンが作られています。

コアワクチン3種

● 猫ウイルス性鼻気(びき)管炎
【原因】
発症した猫の鼻水、くしゃみ、目ヤニなどに含まれる猫ヘルペスウイルスⅠ型を口や鼻、眼の粘膜を介して取り込むことによる。
【症状】
発熱、元気食欲不振、くしゃみ、鼻水、目ヤニ、よだれなど。重症になると呼吸困難や角膜潰瘍、口腔粘膜の潰瘍などもみられる。

  ● 猫カリシウイルス感染症(猫風邪)
【原因】
発症した猫の鼻水、くしゃみ、目ヤニなどに含まれる猫カリシウイルスを口や鼻、眼の粘膜を介して取り込むことによる。猫ウイルス性鼻気管と同時に感染することが多い。
【症状】
口腔粘膜の潰瘍によるよだれが特徴的で、他にくしゃみや鼻水、涙目なども認められ、肺炎や関節炎を引き起こすこともある。

  ● 猫汎白血球減少症(猫パルボ)
【原因】
非常に感染力の強い犬パルボウイルスⅡ型を口から摂取することによる。感染猫から便などで排泄されたウイルスはケージや食器などの環境に数か月以上生存し、ノミなどの外部寄生虫を介して感染することもある。
【症状】
突然の元気食欲不振、下痢、嘔吐、発熱、脱水が見られ、子猫での死亡率が非常に高い。
血液検査で、白血球の減少が認められる。

それ以外のワクチン

● 猫クラミジア感染症
【原因】
細菌のChlamydophila felis が目(結膜)や鼻の粘膜に感染することによる。猫ウイルス性鼻気管炎と同時に感染することも多い。この病原菌は人にも感染する。
【症状】
目ヤニ、結膜炎、クシャミ、鼻水などが見られる。子猫の場合は重度の結膜炎になり、眼が塞がってしまうこともある。

  ● 猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
【原因】
感染した猫の唾液に猫白血病ウイルスが含まれており、グルーミングをしたり噛まれたりすることによって他の猫に感染する。また、同じ食器で食事をすることで感染することもある。
【症状】
発熱やリンパ節の腫れ、下痢、貧血などが見られる。免疫力が低下するので、他の感染症にかかりやすくなり、様々な症状を引き起こす。

  ● 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
【原因】
感染猫に噛まれて唾液や血液に含まれる猫免疫不全ウイルスが体内に入ることによって感染する。
【症状】
感染直後は発熱や元気食欲不振がみられることもあるが、気が付かないことも多い。そのまま無症状のこともあるが、数か月から数年後に免疫力が低下すると悪性リンパ腫や慢性炎症疾患などが見られるようになる。

ワクチンの打ち方

混合ワクチンはコアワクチンの3種混合と、コアワクチン+白血病ウイルスワクチンの4種混合、コアワクチン+白血病ウイルスワクチン+クラミジアワクチンの5種混合があり、免疫不全ウイルスワクチンは単独のワクチンとなります。生活環境や年齢などによって必要なワクチンの種類は異なりますので、どのワクチンを打てばよいのかは獣医師とよく相談しましょう。
ワクチンを打つタイミングですが、生まれてすぐは母猫から抗体をもらっているため病気になりにくく、またワクチンの効果を十分に出すことが出来ないので、母猫の抗体がなくなっていくのに合わせてワクチンを打つことになるのですが、その時期は個体で差があります。ですので、通常生後6~8週令あたりに初めてワクチンを打った後、2~4週おきに複数回行います。
また、ワクチンの効果は少しずつ薄れていくので、その後も定期的に追加接種を行う必要があります。

まとめ

猫のワクチン接種は犬の狂犬病ワクチンのように義務化はされていませんが、感染してからでは手遅れになってしまう病気ばかりです。猫を飼い始めたら、まず初めに動物病院で相談してワクチンプログラムを組んでもらうようにしましょう。