TOP

ペットとの生活

犬猫の基礎知識

第4回 猫に必要な栄養

第4回 猫に必要な栄養

食べ物から摂取すべき栄養は、動物の種類によってどの成分がどのくらい必要なのかが異なります。基本的に動物に必要な栄養は、炭水化物、たんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラル、水の6つですが、人とペット、犬と猫でもその栄養成分の割合は異なります。
今回は猫に必要な栄養についてお話ししましょう。

猫という動物はもともと砂漠に暮らすヤマネコを祖先とし、ネズミやウサギなどの小動物や、鳥、爬虫類、虫などを食料にしていました。水はあまり飲まず、草や木の実もほとんど食べない“完全肉食動物”です。
そこから次のような栄養的特徴がうまれました。

【炭水化物の必要量はとても少ない】
犬は“雑食動物”なので、肉以外にも穀類や甘い果物なども好んで食べるのに対して、猫は唾液の中に炭水化物を糖に分解する“アミラーゼ”という酵素を持っておらず、舌に甘味を感じる受容体もないため、でんぷんや糖といった炭水化物は好まず、栄養的にも多くを必要としません。ある程度のフード中の炭水化物(35%程度)は消化管内で消化することができますが、多すぎる糖質は糖尿病の原因になることもあります。

【たんぱく質の必要量が多い】
猫は体内でアミノ酸から糖を作ってエネルギーとしているため、犬に比べて約2倍のたんぱく質が必要です。たんぱく質を構成するアミノ酸には、猫が体内で合成することが出来ずに食べ物から必ず摂らなければいけないものがあり、それを必須アミノ酸と言って、猫には11種類ありますが(アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、バリン)、その中でも特に必要なアミノ酸はタウリンとアルギニンです。
タウリンは心筋の収縮や胆汁酸の合成、網膜の健康などに欠かせない成分で、犬ではシステインから合成することが出来ますが、猫はできません。
また、アルギニンも、アンモニアを尿素に変換したり、血管拡張作用を有する重要な成分で、犬の約2倍を必要とします。

【動物性油脂が必要】
脂肪はグリセリンと脂肪酸でできていて、脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。猫の必須脂肪酸(体内で合成できず、食べ物で摂取しなければいけない脂肪)にはオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)とオメガ6脂肪酸(リノール酸、アラキドン酸)があります。犬はリノール酸からアラキドン酸を合成できますが、猫はそれが出来ず、アラキドン酸は植物油には含まれていないため、動物性油脂が必ず必要になります。

【ビタミンAやナイアシンが必要】
犬や人は植物に含まれるβ-カロチンを体内でビタミンAに変化させることが出来ますが、猫はそれが出来ないため、ビタミンAという形で摂取する必要があります。
また、肉やレバーに多く含まれるビタミンB群のナイアシンも体内で合成できないため、犬の4倍摂取する必要があります。

【植物由来の中毒を起こしやすい】
猫は犬よりも解毒能力が低く、植物が持つ化学物質の多くを代謝、排泄することが出来ません。そのため、体内に毒物を溜め込みやすく、中毒を起こしやすいため注意が必要です。猫は植物を食べるのに向いていないことが、ここからもわかります。

また、猫に限らないことですが、動物は成長期、成熟期、高齢期など、ライフステージによっても必要な栄養量が変化します。

【成長期】
子猫は急激に大きくなる半面、胃が小さいので一度にたくさん食べられないため、成猫よりも高カロリーで消化の良い食餌を摂らなければいけません。成長期には特にたんぱく質が多く必要で、フードの35~50%がたんぱく質である必要があります。

【高齢期】
多くの猫は加齢によって腎機能が低下してくるので、十分な水分を摂りつつ、カロリーを控えめにして、リンを制限した食餌が勧められます。
また、中・高齢期の老化に対しては、ビタミンEやC、ルテイン、タウリン、ポリフェノールなどの抗酸化成分を食事で補うことにより、活性酸素によるダメージを抑えることができます。

まとめ

市販のキャットフードで“総合栄養食”と書かれているものは、猫が一日に必要な栄養が過不足なく含まれており、含有量も明記されていますが、これを見ると、ドッグフードとはだいぶ栄養バランスが異なることがわかると思います。犬には犬の、猫には猫のフードをきちんとあげるようにしましょう。