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ペットとの生活

ドックトレーナー直伝! しつけのコツ

「子犬の甘噛み防止」

第33回「子犬の甘噛み防止」2013/12
2013/12
第33回 講師 鈴木 拓真先生
鈴木 拓真先生
鈴木 拓真(すずき たくま)
犬のしつけ方教室スタディ・ドッグ・スクール®(麻布大学との共同事業)
神奈川県相模原市中央区淵野辺1-17-71 麻布大学内 TEL:(042)-712-9148
■ドッグトレーナー
麻布大学 獣医学部 動物応用科 卒業
JAPDT:NPO法人日本ペットドッグトレーナーズ協会 所属

甘噛みは、子犬を飼う多くの飼い主さんが抱える悩みの一つです。手や腕、洋服が傷だらけになってしまったなんてこともあり、「将来人を噛む犬になってしまったらどうしよう?」と不安に思う方も多いと思います。そこで今回は、子犬の甘噛みに対処する方法を紹介したいと思います。
子犬の甘噛みは、初めて見るものなどを確認するために行われることなどもありますが、人への甘噛みのほとんどは遊びの一環として行われます。噛む力がまだ弱いうちは飼い主が問題視しないことが多いようですが、成犬になり噛む力が強くなったときに、大きな問題となることがあります。また、甘噛みは子犬の成長とともに減少する傾向にありますが、犬によっては成犬になっても興奮して甘噛みをすることがあるので、子犬の頃から甘噛みにしっかりと対処する必要があります。
単純に噛むことを我慢させるのではなく、飼い主さんのちょっとした注意や、ワンちゃんに噛んでも良いものと悪いものを教えてあげることで、上手に甘噛みを防止することが出来ます。

何気ない接し方に気を付ける

犬はもともと狩りをしていた動物ですので、小動物のような目の前で素早く動くものに対して噛みつくような行動をとることがあります。特に子犬は、ひらひらと動くものや目の前で素早く動くものなどに対して、噛みついて遊ぼうとします。
 飼い主が日頃何気なく行っている接し方が、子犬の甘噛みを助長してしまっている場合があるので、以下に挙げたものに注意し気をつけましょう。

・人の手や足などの体の一部を使って遊びを誘わない
・スカートなどヒラヒラした服装はしない
・髪の毛が長い場合は結んで子犬の届かない位置に保つ
・頭や顔などの口の周りを激しくなでない
・子犬が手を噛み始めたときとっさに手を引かない

甘噛みを防ぐための対処方法

①手からご褒美をあげる
人の手に甘噛みをする子犬は、人の手を遊び道具として考えています。この場合、手から食べ物をあげて、人の手を「遊び道具」ではなく、「ご褒美が出てくるところ」と認識させると良いでしょう。また、子犬の頃から「名前を呼んで飼い主の方を向いたらご褒美をあげる」などといった簡単なトレーニングを行えば、甘噛みを減らすと同時に、飼い主への期待感が高まり、成犬になっても効率よくトレーニングを行うことが出来ます。

②噛んでもよいおもちゃを与える
子犬が人の体の一部や洋服を噛もうとしたときに、噛んでよいものをあげます。噛んでよいおもちゃは、壊れにくく誤飲しにくいものを選びましょう。この方法を行うことで、子犬に噛んではいけないものと噛んでよいものを教えていきます。

③噛むのをやめることを教える
[人の手への甘噛み]
人の手に歯を当ててきたら「痛い」などの言葉を大きい声で発し、手を背中などの犬に見えないところへ隠しましょう。再び犬の前に手を出したときに、噛まなければ褒めてご褒美をあげる、もしくは噛んでよいものを与えましょう。この手順を繰り返し行うことで、「人の手」は噛んではいけないものだと学習させましょう。

[洋服への甘噛み]
 ズボンの裾やスカートへの甘噛みの場合は、空き缶に石を入れた大きな音がするような道具を使うと良いでしょう。甘噛みをしたら、犬に見えないところで空き缶を落とし大きな音でハッとさせ甘噛みをやめさせましょう。再びズボンの裾やスカートを見たときに噛まなかったら褒めてご褒美をあげましょう。

※注意すること
犬が甘噛みをしたとき、叩く、地面に押さえつける、口を閉じたまま抑えるなどの直接的な体罰を行うと、恐怖や攻撃的な反応を引き起こしやすく、甘噛みが悪化する場合もあるので決して行わないようにしましょう。

犬の噛みたい気持ちを満たしてあげる

子犬の甘噛みは、噛みたいという欲求を満たしてあげることがとても大切です。そして噛む対象を、人の手や洋服ではなく「噛んでもよいおもちゃ」にし、おもちゃで遊ぶようにしましょう。
 犬のおもちゃ選びや使い方については、「第16回 魅力的な遊びを実践!① ~おもちゃの管理を心がけよう!~」を、おもちゃを使った犬との遊び方については、「第17回 魅力的な遊びを実践!② ~ワンちゃんとの楽しい遊び方~」をご参照ください。

ワンちゃん用おもちゃ
ワンちゃんにおもちゃを噛ませるのは、1人でおもちゃを噛んで遊ぶ場合と、飼い主と一緒に遊ぶ場合があります。それぞれの状況に適したおもちゃ選びをすることがポイントとなります。

●飼い主さんがワンちゃんと一緒に遊ぶおもちゃ
・人が持つ部分と、ワンちゃんが噛む部分が分かれているもの
(人の手に歯が当たることを防ぐことが出来ます。)

●ワンちゃんに与えっぱなしにしても良いおもちゃ
・壊れにくいゴム製のもの
・中に食べ物が詰められるもの(長時間楽しむことが出来ます)