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ペットとの生活

ドックトレーナー直伝! しつけのコツ

ペットと一緒にお引越し

第73回 ペットと一緒にお引越し
2017/04
第73回 講師 岡本 雄太先生
岡本 雄太
岡本 雄太(おかもと ゆうた)
犬のしつけ方教室スタディ・ドッグ・スクール®宇都宮校
栃木県宇都宮市西原町3298-18
■ドッグトレーナー
麻布大学 動物人間関係学分野で博士号取得
JAPDT:NPO法人日本ペットドッグトレーナーズ協会理事
麻布大学:介在動物学研究室共同研究員

新年度も始まり、春先は新しい生活環境へと変化する時期です。引っ越しなどされた方もいるのではないでしょうか?引っ越しは何かとやることが多くて引っ越しする前と引っ越しした後もそうですが、一段落するまで色々と時間とストレスがかかります。人間でも新しい環境に慣れるまでに心身ともに影響が出ることもあります。特に犬にとっては生活環境が変わることは大変ストレスがかかることを飼い主の皆さんは考慮してあげることが重要です。愛犬を迎え入れたときを思い出してください。一日二日で慣れたということは無かったと思います。お漏らしをしたり、夜泣きが酷くて一緒の部屋に寝てあげたという事もあったのではないでしょうか?新居でもお互いに快適に過ごすために、引っ越しの前から引っ越した後のことをふまえ、人にも犬にとっても引っ越しによるストレス対策を考慮した入念な引っ越し計画を立てることをお勧めいたします。

また、残念ながら犬猫の飼育放棄の理由に、転居先がペット飼育禁止されているので犬を手放してしまう事例も報告されています。ペットを飼育際には生涯飼育を考え、ペットの快適な生活を提供することは飼い主の義務だと思います。最近では自然災害などでやむなく転居しなくてはいけない状況もありますが、突然の転居があ ったとしても事前にどうすればよいのか日ごろから家族皆さんで相談しておくことは大切です。

引っ越しする前のチェックポイント!

①ハウストレーニングは出来ていますか?
日ごろから犬と一緒にどこか遠くへ出かけるときに、移動用ハウス(クレート、キャリー)などを使っていますか?引っ越し当日に見知らぬハウスに入れられて移動するようなことは犬にとっては大変ストレスがかかります。一度閉じ込められるといった怖い経験をしてしまうとケージに入れなくなってしまうこともあるので、普段からハウストレーニングをしておくことで、ハウスは落ち着いていられる場所であることを認識させておきましょう。ハウストレーニングが出来ていると、転居先でも落ち着いて休息できる場所があればストレスを軽減させることが出来ます。過去の記事も参考にしてみてください。

第 1 回 ここぞ!!で使えるハウスのトレーニング
第 58 回 上手なお留守番が出来るようになろう

②トイレトレーニングは出来ていますか?
いつもと違うトイレの環境や、見知らぬ場所へ行って不安になったりすれば、トイレの失敗はつきの。また、新しい場所に自分の匂いがなければ自分のテリトリーを確保しようとマーキングをしたくなります。普段から、ペットシ ーツの上に排泄をする習慣をつけておくことでトイレの失敗やマーキングの予防対策をしておきましょう。例えば、トイレトレーを使っているのであれば自分のトイレの場所が分かり易いので普段使い慣れたものを転居先にも持 っていきましょう。過去の記事も参考にしてみてください。

第 15 回 子犬の時からトイレのしつけをしよう!

まずは、転居先でも落ち着いていられるように、犬の習性を考慮した安心できる環境を整えることが重要です。
・安心してご飯が食べられる
・安心して休息が出来る
・自分の排泄場所がある
などこれらに関連するハウストレーニングやトイレトレーニングなどは事前に練習しておきましょう。普段から使い慣れた寝床やトイレトレーなどは自分の匂いもついているので、新しい環境でも安心して使えるので、引っ越しした機会に新品に買い替えるようなことは避けた方が良いと思います。


①ペットの移動手段を考えておきましょう
転居先までの移動手段として、普段、車に乗り慣れているのであれば一緒に連れていくことが一番負担の少ない方法だと思います。一緒に運べない場合でも、引っ越し会社によってはペットを連れて行ってくれる場合もありますが、どのような環境で運んでくれるのか業者との事前の確認は必要です。公共の交通機関を使うことも出来ますが電車の場合は乗り入れられるケージのサイズなど決まっている鉄道会社もあるので各機関の利用方法を調べておくことが必要です。また、飛行機を使う場合は、ペット専用サービスを受けることが出来る航空会社もありますが、特に短頭種などの呼吸がしにくい犬種は、呼吸器や心臓に負担もかかりやすく体温調節も普段と違う環境だと上手くできずに、実際に空輸中の死亡事故も起こったこともあるので空輸が難しいこともあります。もちろん、短頭種の犬以外でも健康状態や体質などもあるため空輸を選択する場合は獣医師と相談することが重要です。

②転居先の動物病院を調べておきましょう
転居した先で突然調子が悪くなることもあると思います。転居先の近くの動物病院が引っ越し当日休みだ ったり、不測の事態に備えて、数か所ピックアップしておくと良いと思います。

引っ越し後のチェックポイント

新居でも以前と同様な生活環境を作ってあげることは大切です。使い慣れた寝床やトイレスペースを家の中でも人通りが少ない場所に作り、ゆっくり安心できるスペースを作るように心がけましょう。安心できるスペースができたら、家の中を探索させてあげることも必要です。犬にとっての探索行動は自分の嗅覚や視覚や聴覚、触覚などを使ってその環境が安全かどうか確かめる行為です。家の中の匂いを嗅いだり、歩き回ったりすることで飼い主さんの匂いだったり、普段見慣れている環境であることが確認できれば落ち着いてきます。大好きなオヤツを食べさせたり遊んであげても良いと思います。引っ越し作業でバタバタすることもあると思いますが、そんな時は練習してきたハウストレーニングを応用して、ハウスの中でゆっくり休めるようにオヤツを詰められるオモチャなどを使って休ませてあげることも出来ると思います。
あと、意外と忘れがちなことが犬の登録変更届です。引っ越しが一段落したら、地域によっても違いますが、転居先の役所窓口もしくは保健所に行って、犬の鑑札と狂犬病予防注射済票をもって登録変更届手続きをしましょう。マイクロチップを登録している方は登録データの変更が必要になるので、日本獣医師会のホームページなどから手続きをしておきましょう。
また、突然の転居など引っ越し準備期間が殆どない状況になることもあると思います。普段から自宅以外でも犬が安心して休める場所を確保しておくことは重要だと思います。ハウストレーニングとトイレトレーニングが出来ていて、色々な場所へ普段から外出する機会を犬に経験させておくことで、犬が感じるストレスを限りなく軽減させることは可能です。私も実際に引っ越しをした際には、実家が近くにあったので引っ越し作業が終わるまで引っ越しの前から引っ越しが終わるまで2~3日預けたこともあります。私の愛犬は実家にもよく行っていたので普段と変わらず過ごしていたようですが、少し太って新居にやってきました。実家以外でも慣れているドッグホテルや動物病院など預けられる場所は作れると思います。皆様も自宅以外に愛犬たちが安心できる一時難場所を作っておくと不測の事態にも対応できるので、一か所でも良いので準備してみてはいかがでしょうか。