アビシニアンの歴史
アビシニアンはその外見が古代エジプトの壁画に描かれている猫にそっくりなことから、エジプトなどの北アフリカが原産である、と言われてきましたが、最近の遺伝子解析の結果からインド洋沿岸や東南アジアの猫が近縁種であるという説もあり、現在もはっきりとしたルーツはわかっていません。
品種としては1868年にエジプトから “Zula(ズーラ)”という名前の一匹の猫がイギリスに連れて来られたのですが、そのときに「アビシニア地方(現在のエチオピア)の猫」と紹介され、アビシニアンという名前がつきました。その後さらに品種改良が行われ、1896年にイギリスで血統登録が行われ現在に至っています。 アビシニアンが日本にやってきたのは割と最近で1964年ごろですが、その優美な姿に人気は瞬く間に急上昇しました。
アビシニアンの体格とサイズ
体格はフォーリンタイプと呼ばれるスレンダーでいながら筋肉質な“細マッチョ”です。手足が長く、足先はほっそりとしており、つま先立ちしているような動作から“バレエキャット”と呼ばれることもあります。 頭は逆三角形で口元は小さくまとまっています。大きく立ち上がった耳は根元がカップ型になっており、大きなアーモンド形の瞳と共にアビシニアンの特徴となっています。 体重はオスメス共に2.5~4.5㎏くらいで、やや小型の種類に属します。
アビシニアンの毛色
アビシニアンの毛色は主にルディと呼ばれる赤褐色、レッドまたはソレルと呼ばれる赤毛、フォーン(淡い黄褐色)、ブルー(灰色)の4色です。 被毛は短毛のダブルコートですが、毛の1本1本に濃淡の色が交互に入っており、これを“ティッキング”と言い、アビシニアンの毛色の特徴となっています。この細かな縞模様は表面全体では繊細な織物のように見え、光を受けると独特のキラキラと輝く被毛となることから“黄金色に輝く猫”と言われることもあります。
アビシニアンは大きなアーモンド形の瞳が印象的ですが、目じりにある黒いアイライン模様(クレオパトラライン)もまた毛色の特徴の一つです。
アビシニアンの性格
筋肉質ですらりとした体型、強い目力からワイルドでちょっと澄ました印象を与えるアビシニアンですが、その性格はとても人懐こく、甘えん坊です。人と遊ぶのが大好きで、好奇心も旺盛でいたずら好き、人の言うことを良く理解する賢さも持っています。呼びかけに返事をしたり、物を取ってきて投げてもらうことを楽しんだりするため、時に“犬のような猫”と称されることもあります。
また運動能力も非常に高く、高いところから飛び降りたり、部屋を全速力で走り回ったりする行為も大好きです。手足が長く動作が大きいので高いところのものを落とされたり、また本人が打撲や捻挫をしないように家具の置く場所や猫の通り道などには常に注意してあげましょう。
アビシニアンの食事
もともとの骨格がほっそりとしているので、食べ過ぎによる肥満には注意しましょう。 運動能力が高く、高いところにジャンプする行動も良く見られますので、筋肉を作るたんぱく質や関節の成分(コラーゲンやグルコサミンなど)が十分に含まれるフードを選んであげるとよいでしょう。
また、短毛ですが換毛期には毛がたくさん抜けるので、十分にブラッシングができないときには毛玉対応のフードなどもよいかもしれません。
まとめ
アビシニアンはとにかく家族と一緒に居ることが大好きで家族の後をずっとついて回ることもあります。家族のことが好きすぎて、まれに来客や新しい家族に対しては神経質になることもあるようですが、それでも世界中で人気の猫種であることは間違いありません。家族に迎えたら愛情たっぷりに育ててあげましょう。