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ペットとの生活

犬猫の基礎知識

第7回 猫の爪とぎ

第7回 猫の爪とぎ

猫が一心不乱に全身を使ってバリバリと爪を研ぐ姿は、つい応援したくなる時もありますが、家の中では家具や壁を傷つけることもある困った仕草でもあります。猫の爪とぎは生まれ持った行動なので止めさせることはできませんが、それを問題行動にしないためには、どうしたらいいのでしょうか。

爪とぎの意味

まず、猫がなぜ爪とぎをするのか、それにはちゃんと理由があります。
①伸びてくる爪の形を整える
猫の爪はかぎ爪の形の鞘(さや)が重なっていて、下から伸びてきた新しい爪が古い爪を押し上げるようにして伸びています。ですから古い爪を何かに引っかけて落とすことによって、新たな鋭い爪に整えているのです。
②なわばりのマーキング
猫の肉球には匂いを出す腺があり、爪とぎをするときにはその匂いをつけて自分の存在を主張しています。爪痕にもその意味があるため、自分の強さをアピールするときには背伸びをしてなるべく高い位置に爪痕を残そうとします。
③ストレッチや気分転換
寝起き時に伸びをするように爪とぎをすることはよくあります。また、仲間と喧嘩をした後など嫌な気持ちを切り替えようとして爪を研ぐ姿もよくみられます。
④自己ピーアール
自分のことを飼い主に見て欲しいときにも爪とぎをします。爪を研いだときに、紙くずなどが盛大に飛び散って、「わあ、すごーい!」などと声をかけられると、さらに人の気を引こうとして盛大にバリバリとすることもあります。

爪とぎグッズの種類

お気に入りの爪とぎグッズを用意してあげれば、そこだけで爪をとぐようになり、家具や柱を傷つけることを避けることが出来ます。どんな爪とぎが好きなのかは猫それぞれで、硬さや爪の引っ掛かり具合などにこだわりがあるようです。そして今はそれに合わせて様々な素材の爪とぎグッズが売られています。
段ボール製:ペットショップなどで一番よく見かける爪とぎです。猫が乗っかって爪とぎが出来るような板状のものから、壁に立てかけられるもの、ベッドと兼用になっているものなど、様々なデザインがあります。爪が引っ掛かりやすいのでボロボロになりやすく、すぐに買い替えなくてはいけないのが欠点ですが、価格も比較的安価なので初めて試してみるにはいいかもしれません。
布やカーペット製:ソファやカーペットなどで爪とぎをしていた猫は、似たような材質の爪とぎを用意してあげるとよいでしょう。布製のものはボロボロになった時、糸くずが出てくることがありますが、それを食べてしまわないように気をつけましょう。
木製:屋外で暮らした経験のある猫は木の幹で爪とぎをしていたため、木製のものを好む傾向があります。硬いため好き嫌いがあるようですが、丈夫で長持ちします。
麻製:麻ひもを巻き付けた爪とぎは適度に爪に引っかかり、しかも丈夫なためキャットタワーの支柱などに使われていることもあります。しかし麻は独特の匂いがあり、猫の好みが分かれるため、まず麻を気に入るかどうかを確認しましょう。

爪とぎのしつけ

猫は生後1か月を過ぎたくらいから爪とぎのような動作を始めます。そのときに人が爪とぎ場所に連れていき、前足を持って爪とぎの仕方を教えてあげると大人になってもその場でするようになります。最初はおもちゃなどで爪とぎ場所に誘導してあげても良いでしょう。
爪とぎは使用する猫が納得できる場所に設置します。落ち着いて出来る場所のほうがよいので、食器の近くや人通りのある場所からは少し離れた所がよいでしょう。伸び上がって爪とぎをしたがる子には、壁に貼るタイプや柱タイプを、地面でとぎたがる子には全身を乗せられるようなちょっと大きめタイプのものを用意します。どのような形のものでも、体重をかけてもグラグラしない安定感のあるものを選びましょう。
もし爪とぎグッズがあるにもかかわらず、爪を立てて欲しくないもので爪とぎをしようとしても、大声を出したり怒ったりしてはいけません。爪とぎ自体はしてはいけないことではないので、そっと爪をといでも良い場所に連れて行って、そこで爪とぎをしたらよく褒めるようにしましょう。
また、どうしても用意した爪とぎを使ってくれずに、家具や壁を傷だらけにしてしまうときには、爪が引っかからないようにするツルツルの壁紙や、爪に被せるキャップ、猫が嫌いなにおい(柑橘系など)のスプレーなど、爪とぎをさせないためのグッズもありますので、そういったものを使ってみるのもいいでしょう。

爪とぎをしなくなると

高齢になると爪の生え代わりも遅くなりますが、体力が衰えてあまり爪とぎもしなくなってきます。すると古い爪が剥がれ落ちにくくなり、だんだん分厚く長くなって爪が指先に引っ込まなくなってきます。そのまま放っておくとカーペットなどに爪が引っかかって生爪をはがしてしまったり、伸び続けた爪が丸まって自分の肉球に刺さってしまうこともあるので、ときどき爪の形をチェックし、長すぎると思ったら爪切りで先端部を切ってあげましょう。

まとめ

ペットショップに行くとインテリアのような爪とぎグッズがたくさん売られています。つい人の趣味で選んでしまいがちですが、「せっかく買ったのに使ってくれない、、、」と後悔しないためには、ふだんどのような場所で爪とぎをしているのかよく観察して、猫が一番気に入ってくれそうなものを選んで購入してくださいね。