犬との暮らしの中で動物病院やトリミングサロンへ連れていくときなど犬を車に乗せて移動することがあると思います。他にも、家から少し離れたドッグランなどが併設された公園へ行くときや一緒に旅行をするときなども、車に乗せて移動することは何かと便利なので車を利用する飼い主さんは多いと思います。今回は日常生活においても利用することが多い車に関して、ペットとのドライブで知っておきたい重要なポイント注意事項などご紹介いたします。
年末年始のこの時期では、犬と一緒に帰省したり、犬との旅行を楽しむ計画を立てている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
下記のアンケート調査からもわかるように旅行などでは車を利用する飼い主の方が多いことがわかりますが、皆様が愛犬との楽しいドライブが満喫できるように何かお役に立てられれば幸いです。
移動手段 (複数回答) | 人数(人) | 割合(%) |
---|---|---|
車(マイカー) | 2,321 | 98.2 |
新幹線、電車 | 236 | 10 |
飛行機 | 114 | 4.8 |
バス | 46 | 1.9 |
その他 | 40 | 1.7 |
※アニコムホールディングス株式会社Webサイト参照
愛犬の車に対する反応を良く観察してください。車に乗ること自体が初めてで怖がっていたり不安な様子はありませんか?特に子犬の頃は人社会での経験値が不足しているため車のエンジンの音だったり、車自体に不安を感じる子もいると思います。車自体を怖がっている犬に対して、いきなり乗車させること自体が負担になることもあります。
犬と一緒に車に近づいた時、乗った時の反応を良く観察しましょう。尻込みしている、リードを引っ張っても車に近づかないなど不安がる様子であればまずは、車に馴れるところから練習を始めなければいけません。車に乗車する初体験が恐怖体験からスタートしてしまうと、後のトレーニングにも影響しますので最初は肝心です。
車を怖がってしまう以外にも、車に乗っていて興奮する犬、外に向かって吠え続けてしまったり、運転の妨げになっている行動はありませんか?犬を車に乗せる方法に関しても、犬も人も安全に車での移動ができる環境を整えないといけません。意外と知らないことかもしれませんが、道路交通法に違反してしまう犬の車の乗せ方があるのはご存知でしょうか?運転の邪魔になる犬の乗せ方をしていると道路交通違反でつかまってしまうこともあります。
犬も人と同様に車に酔ってしまう動物です。犬の体の具合を観察することも重要です。犬が絶えずよだれがでている、ソワソワしている、呼吸は荒くなっていないですか?犬の体調を管理する上でも車内の温度調整や空気の流れなど換気状態を調整することは重要です。
最初はエンジンをかけないまま犬を車に乗せてみましょう。車の中でオヤツを与えても良いと思います。
車は怖いものではない事、怖い場所ではないことを学習させます。お家の中でいつもやっている座れや伏せなどのコマンドをかけても良いと思います。
いつもと変わらない様子で、特に不安や怖がったりしている様子が無いようであれば、エンジンをかけてみてください。怖がるようであれば、エンジンをかけた車から少し離れた場所でオヤツを与えたり、遊んであげることで怖いものへの意識を逸らしてあげましょう。エンジンがかかっている車は自分にとって何も害を及ぼさないことが理解できると、車にもスムーズに乗ることが出来ると思います。
車に馴れたら、ハウストレーニングを活用してみましょう。車に対する警戒心など無く、いつもと変わらない様子であれば、今度は車の中にケージを設置して中に入れてみましょう。ハウストレーニングが完成している状態でケージの中を安心できる環境として認識していて、車に対する警戒心が無いようであればゆっくり落ち着いて休むことが出来ると思います。
ケージの中でゆっくり休めるようであれば、今度は少しずつ車を走らせていきましょう。急発進、急ハンドル、急停止はケージの中で休んでいる犬にとって態勢も崩しやすいので注意が必要です。まずは車で5分などの短距離から始めて、徐々に距離を伸ばしていきましょう。
過去の記事でもトレーニング方法は紹介しているので下記をご参照ください。
第 1 回 ここぞ!! で使えるハウスのトレーニング
第 58 回 上手なお留守番ができるようになろう
第 65 回 子犬の接し方①~ハウスのトレーニング~
最後に車の中でケージを置く場所に関して、犬の安全性、外にいる人や犬などの刺激を気にしないでゆったりできるスペース、空調や換気調整がしやすい場所を作ろうと考えると、後部座席もしくは後部座席の足元が一番理にかなっていると思います。不慮の事故が起きても写真のようにシートベルトなどで固定しておけば重大なケガに繋がるリスクを低くすることはできます。
また、タオルなどで目隠しをしてあげることで外の刺激をシャットダウン出来るのでケージを覆うことも効果的だと思います。大型犬の場合は後部座席にスペースを作ることが難しく、トランク部分にケージを設置するようになると思いますが、その場合には、空調や換気調整に関して熱がこもったりしやすい場所なので注意が必要です。
犬は、特に、空腹時、満腹時に車に乗ると酔いやすく、吐き戻してしまう可能性が高くなります。
犬は食事をしてから 2 時間程度で胃袋から小腸などへ食べ物が移動すると言われています。
個体差や食べ物の種類によ
っても様々ですが食事直後のトレーニングは避けましょう。食後は胃袋が蠕動運動をして食べ物を液状化しようと消化活動をしているので、激しい運動などで胃捻転を引き起こすこともあります。食事後 1
時間以上は経過してから車に乗せると比較的空腹でもなく満腹でもない状態になっているので車酔いを徐々に克服させるためには良いと思います。
外の刺激に対して過剰に反応してしまう犬に関しては、刺激を出来る限り与えないようにすることが重要です。ハウストレーニングでしっかりとケージの中で落ち着くことが出来るようになってから、車に乗せる練習をすることで、刺激に過剰に反応せずにおとなしくケージの中で休めるようになります。どうしても興奮が収まらない場合には、満腹にならない程度のオヤツをオヤツが詰めることのできるオモチャに入れて、クレートの中で与えることで落ち着かせることも練習次第では可能になります。
犬は欲求を満たしてくれる人が大好きです。
特に狩猟欲求を満たしてあげることで犬の運動不足やストレスを発散させることが可能で、犬との遊びでオモチャを使うことにより、追いかけたり、噛みついたりなど狩猟欲求を効率よく発散させることも出来るので、犬との関係性も深められるため遊びは重要です。
犬を車好きにさせるためには、車で出かけた先で楽しい思いを体験することがポイントになります。
日常生活の中で、お散歩に行く前に飼い主さんがリードを準備したり、お散歩行くよーなどの声掛けをすると、特に教えてもいないのに自分でリードを持ってきたりしてテンションが上がる犬たちもいるのではないでしょうか。
これは大好きな散歩と散歩に行くときに必ず装着するリードが、「リード」=「大好きな散歩」という関連性を犬が覚えているために起こります。
このリードの部分を車に置き換えて、例えば、「車」=「楽しい公園」などと関連付けてあげることで車に乗ることが好きになっていきます。
ただし、逆に車に乗って怖い思いをしたとか痛い思いをした経験を繰り返してしまうと、車に乗ること自体が嫌いになってしまうので、嫌なことを経験してしまった時には楽しい場所へ車で出かけることをお薦めします。
最近では犬と一緒に楽しめる施設もどんどん増えてきているので、犬と一緒のドライブ旅行を是非計画してみてはいかがでしょうか!
犬との遊び方に関しては、下記の記事をご参照ください。
第 16 回 魅力的な遊びを実践!①~おもちゃの管理を心がけよう!~
第 17 回 魅力的な遊びを実践!②~ワンちゃんとの楽しい遊び方~