TOP

ペットとの生活

ワンちゃんの基礎知識[犬図鑑]

第15回 ラブラドール・レトリバーについて

第15回 ラブラドール・レトリバーについて

ラブラドール・レトリバーは盲導犬や介助犬、災害救助犬など、人と一緒に働く犬としてよく知られていますが、家庭犬としても優しく賢い大型犬として世界中でとても人気があります。アメリカやイギリスでは常に人気犬種のトップで、日本でもゴールデン・レトリバーに次いで大型犬の人気犬種となっています。

ラブラドール・レトリバーの歴史

ラブラドール・レトリバーはカナダのニューファンドランド半島のラブラドール州が原産の犬です。16世紀ごろ漁師とともに働いていた“セント・ジョンズ・ウォータードッグ” が祖先で、そのころは人の指示で網からこぼれた魚を海から拾ってきたり、海中の綱を引っ張ってきたり、というような仕事をしていました。ニューファンドランド島には他にニューファンドランド犬という大きな黒い犬がいたため、それよりも小さな犬という意味で“レッサー・ニューファンドランド”と呼ばれることもあったようです。
1800年初頭になると、泳ぎが得意で学習能力が高い犬ということで、イギリスで有名になり、人に対する従順な性格が水鳥猟の狩猟犬として使えるのではないか、ということでイングランドの貴族、マルムズベリー伯爵が数頭を連れて帰り、改良を加えて今のラブラドール・レトリバーを作り上げました。レトリバー、とは獲物を回収するという意味で、ハンターが撃った水鳥を取ってくる狩猟犬として人気はどんどん高まっていきました。イギリスのケンネルクラブでは1903年に、アメリカのケンネルクラブでは1917年に公認犬種として認められ、現在に至っています。

ラブラドール・レトリバーのサイズと体形

体高はオスで56~57㎝、メスで54~56㎝、体重はどちらも30㎏くらいを理想としています。骨太のがっしりとした体形をしており、幅があり、胸からお尻まではほぼまっすぐな寸胴型をしています。指の間には水かきがあり、太く力強いしっぽは“オッタ―テイル(カワウソのしっぽ)”と呼ばれています。
血統的にやや小柄で筋肉質な“イングリッシュタイプ”と、やや細身でマズルが長く細面な“アメリカンタイプ”がいて、イングリッシュタイプが品評会向きなのに対して、アメリカンタイプは狩猟などの使役向きと言われています。

ラブラドール・レトリバーの毛色と毛質

ラブラドール・レトリバーの毛色はブラック、チョコレート、イエロー(明るいクリーム色から赤茶色まで)の3種類の単色のみが認められています。胸元に小さな白斑が出ることがありますが、これは“メダル”と呼ばれ、時々見られます。
毛は直毛の短毛ですが、非常に密なダブルコートで、水を弾き、防寒性にも優れています。年に2回の換毛期にはびっくりするほど大量に毛が抜けるため、日ごろからこまめなブラッシングと定期的なシャンプーは欠かさないようにしましょう。

ラブラドール・レトリバーの特徴

基本的に穏やかで人の言うこともよく理解するため、しつけのしやすい犬種です。ただ、もともと使役犬のため、力が強く運動量も多く必要なため、子犬のときにきちんと人の指示に従うようにしつけをしておかないと落ち着きのない性格になってしまい、散歩のときに急に駆け出したり、わがままになってしまう可能性もあります。フレンドリーな反面、とても寂しがりやで、人とコミュニケーションがとれないことがストレスになってしまうので、生活の中で何か仕事を与えたり、ボール遊びやアジリティなどのゲームを通じて運動としつけを行うと良いでしょう。

ラブラドール・レトリバーの食事

最近の研究で、ラブラドール・レトリバーの約1/4が遺伝的に食べ物に対する執着が強く、肥満になりやすいことがわかりました。先天的な関節の疾患も多いため、適正体重を守るように食事量やおやつの量はきちんと計量して与えるようにし、盗み食いや拾い食いにはくれぐれも気を付けるようにしましょう。また短時間でガツガツと大量に食べてしまって、必要以上に食べさせないよう、食事はなるべく時間をかけて食べさせるように食器や与え方を工夫しましょう。

まとめ

ラブラドール・レトリバーは大型犬でも垂れ耳で優しい顔をしているため、盲導犬やセラピー犬など、人に寄り添う仕事をする犬としてとても人気があります。ラブラドール・レトリバー自身も人の役に立つことを喜びとしているため、街中でお仕事をしているラブラドール・レトリバーを見かけたら、少し離れたところでそっと応援してあげてくださいね。