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ペットとの生活

ペットの飼い方 Q&A

第20回 ペットの認知症について

第20回 ペットの認知症について

“認知症”は老化に伴い認知機能が徐々に衰えていく病気で、犬や猫も年を取ると人と同じような“認知症”になることがあります。長生きするようになった分、ペットも認知症が増えてきているので、元気なうちからどのような病気か知っておくことが大切です。

Q.何歳くらいから認知症になるのですか?

A. 犬の場合、シニアと呼ばれるのは小型犬で7歳くらいから、大型犬では5歳くらいからと言われています。そして、それから身体機能や認知機能が衰え始めるのが小型犬で10~13歳くらいから、大型犬で6~7歳くらいなので、このころから身体的な老化に伴って認知症の症状が認められるようになってきます。

Q.どのような症状が見られるのですか?

A. 認知症の症状は個々によって、または進行程度によってさまざまですが、代表的なものとしては次のような行動が見られます。

・外部からの刺激に対する反応が鈍くなる。呼びかけても無関心、無気力。逆に突然怒りだして、攻撃的になることもある。
・同じ場所をぐるぐる歩くなど、無意味な行動を繰り返す。
・今まで出来ていた行動や新しい学習行動が出来なくなる。トイレの失敗をするようになる
・昼夜逆転し、昼間はずっと寝ていて、夜になると徘徊する、または夜鳴きする
・空間把握が出来なくなり、物にぶつかったり、狭いところに入って出られなくなる
・異常に食欲があるが、食べても痩せてくる

ただ、これらの症状は認知症以外の病気の時にも見られることがあるので(たとえば、耳が遠くなったために呼びかけに答えない、膀胱炎があってトイレを失敗する、体のどこかに痛みがあって夜鳴きをするなど)、他の病気ではないことを確認するために、おかしいと思ったらまずは動物病院でしっかりと検査をしてもらいましょう。

Q.猫も認知症になりますか?

A. 猫は犬のように人の指示で行動することが少なく、もともと寝ていることが多い動物なので、認知症と診断されることが少ないのですが、それでも11歳以降から徐々に認知機能が衰え始め、15歳以上の猫の約半数が何らかの認知症の症状があると言われています。
症状は犬とほぼ同じで、昼夜逆転やトイレの失敗、家族に対する無関心または攻撃、しつこく鳴く、などです。

Q.認知症になったペットのためにできることはありますか?

A. 認知症の原因はまだよくわかっておらず、治療の方法も確立されていないため、治すことは難しいのですが、症状を穏やかにし、悪化を予防する方法はあります。
例えば、昼夜逆転を防ぐために、なるべく昼間は頻繁に声かけをしたり、カートに乗せてお散歩に連れて行くようにするなど刺激を与え、夜は疲れてよく眠れるようにしましょう。また、家の中で徘徊してしまう場合には、安全に歩くことが出来る円形のサークルを用意して、家具にぶつかって怪我をしたり、挟まらないようにするとよいでしょう。
ひどい夜鳴きや攻撃的な態度に対しては、動物病院で抗不安薬のような薬物や、心を落ち着かせるサプリメントを処方してもらうことができます。

Q.認知症のときのフードはどんなことに注意すればいいですか?

A. 認知症は高齢のペットに発症するので、基本的にシニアフードと呼ばれる、消化が良く、腎臓や心臓に負担のかからないようにミネラルを軽度に制限したものを、活動状況に応じて食べさせましょう。一日に何度も食事を要求する場合には、一回量を減らして回数を増やすなどの工夫をしてみましょう。
DHAやEPAのようなオメガ脂肪酸と呼ばれる油や、ビタミンC、ポリフェノールなどの抗酸化成分は認知機能を保つと言われているので、これらを含むフードを選ぶのも良いでしょう。
さらに、「マテ」や「ヨシ」などのコマンドを出しながらフードを与えたり、知育おもちゃを使って探しながら食べるようにするなど、脳に刺激を与えながら食べさせるのも認知症の悪化を防ぐ良い方法です。

まとめ

ペットは人よりも早く年を取ってしまい、高齢ペットの介護は思いのほか大変です。元気なうちからシニアの兆候を見逃さずに、小さな変化のうちからしっかりとサポートしてあげましょう。