第23回 ペットに与えてはいけない人の食べ物
第22回 白内障について
第21回 夏の食中毒について
第20回 腎臓病について
第19回 “パテラ”ってなに? ~膝蓋骨脱臼について~
第18回 うちの子“でべそ”なんだけど…~臍ヘルニア、鼠径ヘルニアについて~
第17回 トゲを踏んでしまったときの対処法
第16回 ペット用救急箱を作ろう
第15回 シニア犬のケア
第14回 皮膚を痒がっているときの対応
第13回 トイレの状態をチェックしよう! ペットのおしっことうんちについて
第12回 おうちでのお薬の与え方
第11回 爪の切り方と深爪をしたときの対処法
第10回 ペットが溺れたときの対処法
第9回 どうして食べてくれないの? 食欲のない猫について
第8回 冬場に多い、ペットのやけど
第7回 垂れ耳の子は特に要注意!ワンちゃんの外耳炎について
第6回 歯みがきの重要性
第5回 心臓マッサージを知っておこう
第4回 電気コードをかじって失神! ペットの感電事故について
第3回 夏に気をつけたい ペットの熱中症について
第2回 何度も戻しちゃうんだけど、どうしよう?ペットの嘔吐について
第1回 何か変なもの食べちゃったかも! 愛犬の誤飲・誤食について
犬や猫を飼っていると、割と頻繁に「吐く」現場に遭遇します。 吐いた後はスッキリとしているようなので、とりあえずは何もせず様子を見る、ということも多いかと思いますが、状況によっては一刻も早く動物病院に連れて行ったほうが良い場合もあります。 一時的な生理現象なのか、重大な病気の症状なのか、よく見極めて対処していかなければなりません。
犬や猫は比較的吐きやすい動物なので、さまざまな原因で嘔吐を引き起こします。状況や症状などで原因を推測しましょう。
① 食べ過ぎ・慌てて食べる
一度に大量の食べ物が胃に入ることによる刺激で、食べたものを消化する前に吐いてしまうことがあります。正確には嘔吐ではなく「吐出(としゅつ)」と言いますが、通常その他の症状は見られません。吐いた後はケロッとしていますが、食事のたびに繰り返すようならば食道などに問題があることも考えられるため、念のために一度病院で診てもらったほうが良いでしょう。
② 胃炎 空腹やストレスによる胃酸過多、固い異物による胃壁の刺激、刺激物の誤食などによって嘔吐することもよくあります。毎回早朝時に胃液を吐く、というような場合は空腹が原因であることが多いようです。また、猫の場合、胃の中にある毛玉を出そうとしてわざと固い草などを食べて吐くこともあります。明らかに消化できない異物を食べてしまった場合や、何度も吐いたり、吐いたものに血が混じっているような時にはすぐに動物病院に連れて行きましょう。
③ 感染症や全身の疾患 パルボウイルスやアデノウイルスなどの感染症、消化管内寄生虫の感染、腎不全や肝不全、腫瘍などの疾患の一症状として嘔吐が見られることがあります。元々何らかの持病があったり、脱力や下痢、発熱などの症状がみられるような時にはすぐに動物病院に連絡をしましょう。
④ その他 胃捻転、膵炎、腸閉塞、食物アレルギー、中毒、乗り物酔いなど、様々な原因で吐くことがあります。
原因がわからなくても、次のような症状が見られたら、すぐに病院に連れて行きましょう。
① 何度も吐く もう胃の中が空っぽなのに黄色~緑色の液体を出したり、えずくしぐさを繰り返している。
② 吐いているものの中に血が混じっている 真っ赤な鮮血だけでなく、黒っぽい血の塊のようなものがみられることもあります。
③ 吐く以外の症状が見られる 下痢や流涎(よだれが止まらない)、腹痛、元気消失などの症状がみられる場合には特に要注意です。
獣医師に次のような説明ができると原因と対策がわかりやすくなります。
① 何をどのくらい吐いたか フードだけなのか、それ以外なのか、どんなものが混じっていたのか。液体なのか、泡状なのか。説明が難しければ吐いた物をビニール袋に入れて持参してもよいでしょう。
② どのくらいの頻度で何回くらい吐いたか 気が付いてからどのくらいの時間が経っているか、ということも重要です。
③ 吐き気以外の症状 吐く前後で痙攣(けいれん)や脱力、呼吸困難、下痢などの症状はなかったか、よく思い出しましょう。
病気ではなさそうで家で様子を見る場合、または病院に連れて行くまでの間の管理として、吐いた後は絶食が基本です。消化管を休めることによって吐き気を収めていきましょう。
口の中が気持ち悪いかもしれない、何度も吐いて脱水しているかもしれない、と水を飲ませたくなりますが、水が胃に入る刺激でさらに吐き気が止まらなくなることがありますので、水も落ち着くまでは飲ませないようにしましょう。
半日ほど絶食絶水し、吐き気がなくなったら、ごく少量の水(舐める程度)を与え、徐々に様子を見ながら水分を与えるようにしましょう。ごはんはできれば流動食のような胃に負担がかからないようなものから同じく少量ずつ与えるようにしましょう。
犬や猫は吐きやすい動物であるとはいえ、やはり吐くという行為はつらいものですし、繰り返し胃液が逆流することによって食道粘膜などを傷つけることもあります。少しでも異常が見られたら出来るだけ早く対応し、なるべく早く治してあげましょう。