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ペットとの生活

ペット版 家庭の医学

第6回 歯みがきの重要性

第6回 歯みがきの重要性

ペットがある日突然ごはんを食べなくなってしまい動物病院に連れて行ったら「歯周病で歯がボロボロになっています、歯を何本も抜かなければいけません」と言われてしまった…。もし、あなたのペットが定期的に歯みがきをしていなかったら、これは他人事ではありません。ペットが毎日美味しくご飯を食べるためには歯みがきはとても大切なケアなのです。

ペットも歯みがきをしないといけないの?

犬や猫は人のような虫歯にはなりにくいのですが、歯周病にはとてもなりやすく、最近の調査では3歳以上のペットの8割は歯周病になっていると言われています。
歯周病は細菌が増殖した塊である“歯垢(プラーク)”から毒素や酸が出て、周囲の組織が破壊されることによっておこる病気です。歯垢は時間が経つとカルシウムが沈着して“歯石”になり、歯石になってしまうと表面が硬くなって取り除きにくくなり細菌がさらに繁殖しやすい環境をつくってしまいます。
歯周病は奥歯の、しかも歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の間から始まるため、初めは見逃されてしまうことが多いようです。しかし、口臭がひどくなったり、歯石で歯が茶色く見えるようになったときには病状がかなり進行して歯がグラグラになっていることもあります。ですから、そうなる前に歯みがきを習慣づけて行い、歯垢を取り除かないといけないのです。
よく、固いものを食べさせて、それが歯みがき代わりになるから大丈夫、という話も聞きますが、ガムなどで歯垢を除去できるのは一部なので、これだけでは不十分です。やはりおうちの人がちゃんと見てチェックしながら歯みがきをしたほうが安心です。

歯磨きをしなかったら…

歯周病は実はとても怖い病気です。歯周病が進むと歯肉炎がひどくなり、歯が痛くてご飯が全く食べられなくなることもあります。歯石が歯の根元に付着することで、歯の根っこに膿(うみ)が溜まり、歯槽骨と呼ばれる歯の土台が溶けてしまうこともあります。
最近では、歯周病の菌が血液に入り込み、全身に回ってしまうことで心臓の弁膜症や腎臓疾患を引き起こす危険性も指摘されています。
できてしまった歯石はスケーラーと言う器具を使って取り除かなければなりませんが、きちんと取り除くには手術と同じ全身麻酔をかけて行わないといけませんし、術後には抗生物質や消炎剤などのお薬を何種類も飲ませなければいけなくなることもあります。
たかが歯周病、年を取ったら歯石が付くのは仕方がない、とは言えないのです。

歯みがきの手順

人と同じく、歯周病の予防は食べた後の歯磨きになるのですが、ペットで最初から“歯みがき大好き”という子はなかなかいません。いきなり歯ブラシを使って奥歯までゴシゴシするのは難しいでしょう。ですから、なるべく若いころから段階を追って歯みがきに慣れさせるようにしましょう。
まずは普段のお手入れの時に必ず顔と口周りを触るようにしましょう。少しずつ口周りから口の中まで触れるようにして、大人しく口を開けて口の中に指やブラシを入れさせるようになるまで慣れさせましょう。
次に歯みがきに慣れるためのステップとして、マウススプレーやマウスウォッシュなどのオーラルケアグッズを使ってお手入れをしてみましょう。マウススプレーには通常、口腔内の細菌を整え、口臭を予防する成分が含まれています。使う時は口角を後ろに引っ張りながらなるべく奥の方にシュッ、シュッ、と左右に入れてあげてください。
口を触ったり、口の中に物を入れても大丈夫になったら、いよいよブラシを使った歯みがきです。最初は指にデンタルシートを巻きつけて口の中を優しく拭き取るようにします。それも慣れてきたら歯ブラシやデンタルペーストなどを使って汚れを落としてあげましょう。始めは短時間で行うようにし、終わったらよく褒めて、だんだんと時間をかけて行えるようにしていきましょう。

まとめ

歯磨きに関するグッズはペットショップに行くといろいろな種類のものが売っています。指サックにブラシがついているものや、ペットが好きな味やにおいがついているデンタルペーストもあるので、そういったものを使いながら、歯磨きが嫌なことではなく習慣として行えるようになればいいですね。