第23回 ペットに与えてはいけない人の食べ物
第22回 白内障について
第21回 夏の食中毒について
第20回 腎臓病について
第19回 “パテラ”ってなに? ~膝蓋骨脱臼について~
第18回 うちの子“でべそ”なんだけど…~臍ヘルニア、鼠径ヘルニアについて~
第17回 トゲを踏んでしまったときの対処法
第16回 ペット用救急箱を作ろう
第15回 シニア犬のケア
第14回 皮膚を痒がっているときの対応
第13回 トイレの状態をチェックしよう! ペットのおしっことうんちについて
第12回 おうちでのお薬の与え方
第11回 爪の切り方と深爪をしたときの対処法
第10回 ペットが溺れたときの対処法
第9回 どうして食べてくれないの? 食欲のない猫について
第8回 冬場に多い、ペットのやけど
第7回 垂れ耳の子は特に要注意!ワンちゃんの外耳炎について
第6回 歯みがきの重要性
第5回 心臓マッサージを知っておこう
第4回 電気コードをかじって失神! ペットの感電事故について
第3回 夏に気をつけたい ペットの熱中症について
第2回 何度も戻しちゃうんだけど、どうしよう?ペットの嘔吐について
第1回 何か変なもの食べちゃったかも! 愛犬の誤飲・誤食について
ペットがやけどをする危険はさまざまなところに潜んでいます。特に冬の季節は暖房器具によるやけど事故が多く起きています。ペットのやけどは全身の毛に隠れてしまうので、すぐに気付かないこともありますが、場合によっては重症になることもあるため注意が必要です。
ペットが家庭内でやけどを負う状況はいろいろです。
・本体が熱くなるものや熱い蒸気が出る物に触ってしまった、近づきすぎてしまった
ストーブやヒーターなどの暖房器具、アイロン、IHコンロ、アウトドアグリル、炊飯器や電気ポットの蒸気孔 など
・熱い油やお湯に触れてしまった
調理中のてんぷら油や熱湯、沸かしているお風呂 など
・低温の暖房器具に長時間直接触れてしまった
ペットが寝ている場所に設置したゆたんぽ、ホットカーペット、カイロ など
・通電中の電気コードを咬んでしまった
感電による口腔内のやけど など
様々な場所に危険が潜んでいます。
ペットは全身を被毛で覆われているがゆえに熱い場所に近づきすぎていることが自分でわからないことがあり、特に寒い日などはストーブの火などに近づきすぎてしまいます。 また、ペットの寝床にペットヒーターなどを設置した時に、低い温度だから大丈夫と直接ペットの皮膚に触れるようにしてしまうと低温やけどを起こしてしまいます。特に高齢のペットは長時間同じ体勢で寝ることにより広範囲で深い組織までダメージを受けてしまうことがあり、非常に危険です。
やけどはその程度によって大きく3段階に分けることが出来ます。
1度
皮膚に赤みが出る程度。毛が生えているので皮膚の変化を見つけるのが難しいが、痛みがあるので気にして舐め壊してしまったりすることもある。
2度
皮膚に水泡が生じる程度。毛も抜けてしまい、痛みが強い。1か月近く治療が必要で、治っても痕が残ることがある。
3度
皮膚の下の筋肉近くまで組織が焼けてしまう状態。表面が黒いかさぶたのようになってしまうこともある。皮膚が再生しないので表面がケロイド状となり、痕が残る。場合によっては皮膚移植が必要になることもある。
やけどの程度が浅くても範囲が広ければ、脱水や血圧の低下、細菌感染による敗血症などから命に危険が及ぶこともあります。
ペットのやけどに気づいたら、まずはすぐに患部を冷水で冷やしましょう。直接冷水シャワーをかけたり、水桶に患部を浸してしっかりと熱を取るようにしましょう。もし皮膚が大きく損傷していて流水が刺激になりそうなら、ビニール袋に氷水を入れて、濡らしたガーゼ越しに患部を冷やしても良いでしょう。
そして濡らしたガーゼで軽く覆ったまま、なるべく患部には触れないようにして出来るだけ早く動物病院に連れて行きましょう。ペットが気にして患部を舐めてしまうと患部に雑菌が入り状態を悪化させてしまうので、なるべく舐めさせないように、出来ればエリザベスカラーのようなものを一時的につけておいたほうが良いかもしれません。また、病院での治療の妨げとなりますので市販の軟膏や油類などは自己判断でつけないようにしましょう。
ペットのやけどは飼い主でも気づかないことがあり、数日たってからいきなり毛がごそっと抜けて気が付く、ということもあるようです。やけどをしないように普段から熱が出る物に対しては気をつけることが大切です。ストーブやヒーターなどには接触防止の囲いを設置したり、ペットヒーターはなるべく低い温度で必ずマットの下に敷いてペットが直接触れないようにし、さらにタイマーを使って暖房器具がつけっぱなしにならないように気をつけましょう。 十分な配慮で事故のない冬を過ごしてくださいね。