第23回 ペットに与えてはいけない人の食べ物
第22回 白内障について
第21回 夏の食中毒について
第20回 腎臓病について
第19回 “パテラ”ってなに? ~膝蓋骨脱臼について~
第18回 うちの子“でべそ”なんだけど…~臍ヘルニア、鼠径ヘルニアについて~
第17回 トゲを踏んでしまったときの対処法
第16回 ペット用救急箱を作ろう
第15回 シニア犬のケア
第14回 皮膚を痒がっているときの対応
第13回 トイレの状態をチェックしよう! ペットのおしっことうんちについて
第12回 おうちでのお薬の与え方
第11回 爪の切り方と深爪をしたときの対処法
第10回 ペットが溺れたときの対処法
第9回 どうして食べてくれないの? 食欲のない猫について
第8回 冬場に多い、ペットのやけど
第7回 垂れ耳の子は特に要注意!ワンちゃんの外耳炎について
第6回 歯みがきの重要性
第5回 心臓マッサージを知っておこう
第4回 電気コードをかじって失神! ペットの感電事故について
第3回 夏に気をつけたい ペットの熱中症について
第2回 何度も戻しちゃうんだけど、どうしよう?ペットの嘔吐について
第1回 何か変なもの食べちゃったかも! 愛犬の誤飲・誤食について
耳翼(耳のひらひらした部分)から鼓膜までの耳の穴のことを“外耳”と言い、ここが炎症をおこして赤く腫れたり化膿してしまうことを“外耳炎”と言います。ワンちゃんは垂れ耳だったり耳の中に毛が生えている子も多く、外耳が蒸れて汚れが溜まりやすいため、外耳炎になりやすい動物です。
もしワンちゃんが次のようなサインを出していたら外耳炎を疑ってみましょう。
・耳を痒がる
後ろ足で耳の後ろをボリボリと掻いていたり、しょっちゅう頭を振っていたり、頭を地面にこすりつけるようなしぐさをしているときには、耳が痒いのかもしれません。後ろ足でしょっちゅう耳を掻いているときには、耳の後ろの毛が薄くなっていたりひっかき傷が出来ていることがあります。
・耳を痛がる
耳が明らかに腫れていたり、赤くなっているときには痛みがあると思っていいでしょう。耳を触ろうとすると怒ったり鳴いたりするのも痛みのサインです。耳が痛いとイライラすることが多くなり、人が近づくだけで唸り声を出したり攻撃的になることもあります。
・耳が汚れている
耳の中に黒っぽいベタベタとした汚れがあったり、耳の中から毛束のようなものが飛び出ていたり、耳から脂(あぶら)が酸化したような悪臭がするときは要注意です。
ワンちゃんが外耳炎になる原因はいくつかあります。
・細菌感染
細菌のなかでも特にマラセチアという真菌(カビ)の感染による外耳炎が非常に多く見られます。マラセチアは正常なワンちゃんの皮膚にもいる“常在菌”と言われる菌で、通常は悪さをしませんが、餌となる皮脂や湿度が十分にあるときやワンちゃんの免疫力が落ちていると激しく増殖して、炎症を引き起こしてしまいます。
・寄生虫感染
一番多いのがミミヒゼンダニと呼ばれる小さなダニが耳の中で増殖することによるものです。他にも毛包虫(ニキビダニ)や疥癬(カイセン)などが原因となることもあります。
・異物
お散歩をしたときに草の種や虫などが耳の中に入ってしまい、なかなか出せずに炎症を起こしてしまうことがあります。また、シャンプーや水が耳の中に入ってしまい、それらが刺激になることもあります。
・アレルギー
食餌性アレルギーやアトピー性皮膚炎など内因性の炎症が原因となっていることも多いようです。
・そのほかに、ホルモン疾患による脂質の過剰分泌や腫瘍による炎症などによる外耳炎もあります。
うちの子外耳炎かしら? と思ったらまずは動物病院に連れて行きましょう。上でもお話をしたように、外耳炎の原因はいくつもあり、それぞれ治療法が異なります。間違った治療をするといつまでも治らないばかりでなく、自己流に耳掃除などをしてしまうと却って炎症を悪化させてしまったり、汚れを耳の奥に押し込んでしまったりすることもあるので、必ず獣医さんの指導の下で治療薬を使うようにしましょう。
耳の形状や体質で外耳炎になりやすいワンちゃんがいますが、定期的な動物病院のチェックで予防をしていくことができます。外耳炎の一番の予防は耳の中の汚れを溜めないようにすることです。特に夏場で耳の中が蒸れやすい季節、耳の中から毛が生えている子や垂れ耳の子などは、自宅で出来るイヤークリーナーの使い方を教えてもらって耳の中を常に清潔に保つようにしましょう。
ワンちゃんは人よりも耳のトラブルを起こしやすい動物です。耳がちょっと汚れているだけだから、と外耳炎を放っておくとワンちゃん自身が掻き壊して耳がパンパンに腫れあがってしまったり、細菌感染が進行して鼓膜を破って中耳炎に進んでしまうこともあります。きちんと治療を続けないと再発しやすい病気でもあるため、一度治ったからと言って安心しないで日頃のケアを続けてくださいね。