第23回 ペットに与えてはいけない人の食べ物
第22回 白内障について
第21回 夏の食中毒について
第20回 腎臓病について
第19回 “パテラ”ってなに? ~膝蓋骨脱臼について~
第18回 うちの子“でべそ”なんだけど…~臍ヘルニア、鼠径ヘルニアについて~
第17回 トゲを踏んでしまったときの対処法
第16回 ペット用救急箱を作ろう
第15回 シニア犬のケア
第14回 皮膚を痒がっているときの対応
第13回 トイレの状態をチェックしよう! ペットのおしっことうんちについて
第12回 おうちでのお薬の与え方
第11回 爪の切り方と深爪をしたときの対処法
第10回 ペットが溺れたときの対処法
第9回 どうして食べてくれないの? 食欲のない猫について
第8回 冬場に多い、ペットのやけど
第7回 垂れ耳の子は特に要注意!ワンちゃんの外耳炎について
第6回 歯みがきの重要性
第5回 心臓マッサージを知っておこう
第4回 電気コードをかじって失神! ペットの感電事故について
第3回 夏に気をつけたい ペットの熱中症について
第2回 何度も戻しちゃうんだけど、どうしよう?ペットの嘔吐について
第1回 何か変なもの食べちゃったかも! 愛犬の誤飲・誤食について
熱中症とは気温と湿度が高い環境にいることで体温が上昇し、体温調節機能がうまく働かなくなることによるさまざまな体の異常のことを指し、そのままにしていると死に至る非常に危険な状態です。一昔前は炎天下に長時間過ごすことによって発症するとされてきましたが、近年の日本の夏のような天候だと室内でも夜間でも熱中症になることがあります。
① 閉め切った車内や室内でのお留守番 日陰でもサンシェードをしていても真夏の車内や室内は30度以上になることがあります。たとえ車内でエアコンをかけていてもペットの状態によっては熱中症になることがあるため安心はできません。
② 海やキャンプなどのバカンス 炎天下で人もペットもはしゃいでいると体の不調に気が付かず、あっという間に体温が40度近くになってしまうことがあります。
③ 夏のお散歩 夏の昼から午後、地表の温度がまだ高いときに外に連れ出すと、地熱から熱中症になるばかりでなく肉球を火傷してしまうこともあります。
④ 直射日光の当たるところにケージを置く、リードにつなぐ 日陰の逃げ場がないとあっというまに熱中症になってしまいます。
⑤ 熱中症になりやすいペット 幼いペット、高齢のペットは体温調節がうまくできないのでちょっとでも高温にさらされると熱中症を発症します。また、パグやフレンチブルなどの短頭種も熱い空気が直接体内に入りやすいので熱中症になりやすい傾向があります。さらに肥満のペット、毛深いペット、呼吸器や循環器に疾患のあるペットなども熱中症になりやすいと言えます。
初期 パンティング:ハアハアと激しい息遣いで舌を長く出して、よだれが大量に出ます。
粘膜の充血:目が充血したり、耳の内側や口の粘膜の赤味が強くなります。
体温上昇:体を触ると熱く感じます。 中期 体温のさらなる上昇:40度以上の状態が続きます。42度を超すと体のタンパク質が変性するため危険な状態です。
下痢・嘔吐:体の脱水がさらに進行してしまいます。
末期 脱水による血液濃縮、循環不全:血の巡りが悪くなるため、チアノーゼ(舌や歯茎などの粘膜が白くなる)意識がなくなる、けいれんなどの神経症状をおこし、非常に危険な状態となります。
熱中症の進行は非常に早く、しかも命に係わる病気です。
脱水によって血液が濃くなると血管内に血栓ができやすい状態になり、脳や心臓、腎臓の機能が低下したり、神経症状がでることもありますが、これらの症状は熱中症を治しても後遺症としてずっと残ってしまうこともあります。熱中症かな?と思ったらすぐに動物病院に連絡を取りましょう。
熱中症が疑われたら動物病院に連絡を取りつつ、少しでも早く体温を下げる処置を行いましょう。
初期であれば風通しの良い涼しい場所に連れて行って体全体に水をかけてあげましょう。体全体が熱くなっているようなときは、全身が水に浸かるようなバスタブにペットを入れたり、ペット全体を大きなバスタオルのようなものでくるんで、そこに水をかけ流してもよいでしょう。食品保冷剤のようなものをわきの下や股のところに当てて血液の温度を下げるのも効果的です。ペットの意識があり、吐き気がなければ、スポーツドリンクを薄くした水分を少しずつ飲ませてあげましょう。
もともと犬は寒い地方出身の動物なので暑さが苦手です。
猫は多少暑さに強い動物ですが、犬と同様に汗をかけないので高温多湿の環境ではやはり体温が上昇し、熱中症になることがあります。
人は我慢できてもペットは熱中症になってしまう暑さがあります。 室内のエアコンは涼し目に、暑い時間帯は外に出さず、ペットの身になって夏を乗り切ってくださいね!