第25回 食欲がないときの対応
第24回 猫のフィラリア症について
第23回 ペットに与えてはいけない人の食べ物
第22回 白内障について
第21回 夏の食中毒について
第20回 腎臓病について
第19回 “パテラ”ってなに? ~膝蓋骨脱臼について~
第18回 うちの子“でべそ”なんだけど…~臍ヘルニア、鼠径ヘルニアについて~
第17回 トゲを踏んでしまったときの対処法
第16回 ペット用救急箱を作ろう
第15回 シニア犬のケア
第14回 皮膚を痒がっているときの対応
第13回 トイレの状態をチェックしよう! ペットのおしっことうんちについて
第12回 おうちでのお薬の与え方
第11回 爪の切り方と深爪をしたときの対処法
第10回 ペットが溺れたときの対処法
第9回 どうして食べてくれないの? 食欲のない猫について
第8回 冬場に多い、ペットのやけど
第7回 垂れ耳の子は特に要注意!ワンちゃんの外耳炎について
第6回 歯みがきの重要性
第5回 心臓マッサージを知っておこう
第4回 電気コードをかじって失神! ペットの感電事故について
第3回 夏に気をつけたい ペットの熱中症について
第2回 何度も戻しちゃうんだけど、どうしよう?ペットの嘔吐について
第1回 何か変なもの食べちゃったかも! 愛犬の誤飲・誤食について
動物病院で薬剤を処方していただいて、「おうちでもあげてくださいね」と言われたとき、皆さんはきちんとあげることができますか? 薬が入っているご飯だけお皿に残されてしまったり、飲ませたつもりが部屋の隅に薬が落ちていたり、外用薬の薬を見せただけで逃げられてしまったりと、結構難しいと感じているのではないでしょうか。
小さな粒であっても薬の存在が判ってしまうと、どんなにご飯の中に隠しても、薬だけ残してしまい決して食べようとはしません。ですから錠剤などはなるべく直接飲ませるようにしましょう。
まず、利き手でないほうの手で上あごを持ちます。犬歯のすぐ後ろは歯がないところなので、そこに指をかけるようにするとよいでしょう。そしてそのまま鼻を少し上に向けるようにして口を開き、利き手で素早く口の奥のほうに薬を入れて、すぐに口を閉じます。そのまま口を開かないように押さえながら、鼻に息を吹きかけたり、のどを軽くさすって飲み込むように促します。口を閉じたままスポイトで水を少量含ませてもよいでしょう。「ごっくん」とのどが動いて飲み込むのが確認出来たらすかさず解放してよく褒めてあげましょう。
薬が粉になっている場合はウェットフードやペースト状のおやつに混ぜて与えることもできます。食べ残しがないように、まずは少量の薬入りのフードだけを食べさせ、全量食べたらよく褒めて、残りのご飯をあげるとよいでしょう。
薬に味や匂いがついていて、どうしても薬入りのフードを食べない時には、少量の水で練って丸薬にしたり、オブラートに包むなどして、薬のみを錠剤をのませる要領で与えるようにしましょう。
通常、液状の薬が処方されるときにはスポイトかシリンジのような器具がついてくるので、これらを使って上手に飲ませるようにしましょう。ワンちゃんやネコちゃんの犬歯の後ろには歯のないスペースがあります。ここに器具の先端を差し入れて、少しずつ口の中に含ませるように飲ませます。喉が動いて飲み込むのを確認出来たら、追加で少しずつ入れるとよいでしょう。
まず、冷蔵庫などに保存してあった目薬はそのまま使うと冷たすぎてびっくりしてしまうので、手のひらで人肌まであたためましょう。座っているペットを後ろから抱きかかえるようにして頭を固定し、やや上を向かせた状態で目尻か目頭からそっと2~3滴を入れるようにします。誰だって目の前に物が迫ってきたら怖いと思うので、決して正面から差してはいけません。目からあふれた目薬は、そのままにしているとペットが自分の前足でこすって眼球を傷つける原因となるので、柔らかいカット綿などでそっと拭き取ってあげましょう。
もし、2種類以上の目薬が処方されているときは、必ず5~10分の間隔をあけて差すようにしましょう。
耳の中に液体の点耳薬を少量垂らしたら、皮膚の上から耳管を軽くもんで薬剤が耳の中全体に行き渡るようにします。このとき、外耳炎などがあると耳が熱を持ったり、痛みがあることもあるので、あまり力を入れてぎゅうぎゅう揉まないように注意しましょう。
しばらくすると頭をブルブルと振って薬で浮いてきた耳奥の汚れが見えるところに出てくるので、それを柔らかいカット綿などを使って優しくふき取ってあげましょう。綿棒は汚れを奥に押し込んでしまったり、耳道の壁を傷つけることもあるので、目に見える場所だけ弱い力で使うようにしましょう。
ノミやダニの寄生虫駆除薬や、フィラリアの予防薬にはスポットオンタイプと呼ばれる、皮膚に液体の薬を垂らすタイプのものがあります。
薬効成分が皮膚に広がることによって効果を発揮するので、薬液が全量確実に皮膚に付着することが大切です。ですので、つけ方としては、動物が自分で舐めることができない首の背中側、肩甲骨の間くらいの毛をよく掻き分けて被毛になるべく薬液がつかないようにして、皮膚に直接薬剤を垂らします。つけたあとしばらくの間は、人が触れたり同居している動物が舐めたりしないように注意しましょう。
どんなペットも進んで薬を飲んではくれませんが、投薬に失敗して長い時間体を押さえつけられていたり、怖い思いをすると、投薬のことがますます嫌いになってしまいます。薬のせいで却ってご飯を食べなくなってしまったり、人のことまで嫌いになってしまうことがないように、さりげなくスマートに薬を飲ませる(使う)ことができるようにしておきましょう。